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奴隷妻のtunicのレビュー・感想・評価

奴隷妻(1976年製作の映画)
5.0
没落したお嬢様と元使用人の高利貸し。戦後の社会状況のせいで身分が逆転してしまった者同士のSMを介した愛の嵐。頭にピーンと浮かんだビジョンを再現しようと最初のうちは縛る手つきもたどたどしく、女が苦悶の表情を浮かべるたびに意識は戦前へとトリップ。調教がエスカレートしていくうちに、これは単純なSMではなくて高橋明のグレート・ギャツビーをやろうとしているんだと気付く。過去の回想シーンで谷ナオミもデイジー風のバンダナしてたし、運転手の明さんも白スーツの制服。調教が完了して奴隷化したお嬢様を前に、すでに気が触れている男はステーキ肉と一緒に裸の肉を切り刻む。炎に包まれながら一瞬蘇った女をみて、男は闇にのまれながらどこかへ消え去ってしまう。加藤彰、ほんとすごいとしか言えない。映画というより文学?アート?の域。高橋明の代表作だと言ってもいい。「㊙︎女郎責め地獄」よりも断然こっち。
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