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見えない太陽のkazataのレビュー・感想・評価

見えない太陽(2019年製作の映画)
3.5
フランスの巨匠アンドレ・テシネ監督最新作&ドヌーヴ様主演なのに劇場未公開という本作をウォッチ。
(思いっきり中高年のヨーロッパ映画ファン向け作品なのにWOWOW放送からのDVD&配信スルーってターゲットにほとんど届かないんじゃなかろうか…)

孫のケイシー(モッテ・クライン)くんがいつの間にかイスラム教に改宗しただけでなく、イスラム国に行くつもりらしいってことを知ってしまったドヌーヴ婆ちゃんはどうする?って物語なんだけども、、、ダルデンヌ兄弟監督作『その手に触れるまで』と同じ製作年で、同じテーマを扱い、ラストの希望の見出し方&描き方にも共通するところがあるもんだから、感動を通り越して「さすが巨匠!」って嬉しくなっちゃいました。

(あまりにも説明的過ぎる日食メタファーの件もこんなに堂々とやられたら逆に清々しくて許せちゃいますね…)

(過激思想に走る若者だけに責任を押し付けるようなことは決してせず、自分たち=テシネ監督たちの高齢者世代にも自戒の念を促そうとする姿勢がベースにちゃんとあるから信頼がおけるよね)

(こんなにしっかりした=バリエーション豊かな演技をしているドヌーヴ様を見られる作品って近年なかったんじゃないかな……いつもと違って"弱さ"が前面に出ているドヌーヴ様を拝めます!)

(『シモンの空』で可愛げがあったケイシーくんが、二十歳そこそこにしてすっかりオジサン顔になってしまったのが寂しい……でも、テシネ監督作『17歳にもなると』で撮影時17歳ぐらいでガッツリBLセックスシーンを演じてみせた辺りも踏まえて、"ポスト・ジェレミー(レニエ)"を彷彿とさせるから推せる!)

(ケイシーくん演じるアレックスの過去エピソードで、同性愛匂わせをねじ込んでくる辺りがテシネ監督らしい…)

(馬がいい表情しているカットがいくつか出てくるのが馬好きとしては嬉しい…)

余談だけども、先日見たハネケ監督の『ハッピーエンド』に続いてまさかのSia「Chandelier」(で踊りまくるシーン)かぶりが発生したことにテンション激上がってしまいました!
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