幽斎

ビットコイン・ウォーズ 暗号資産の行方の幽斎のレビュー・感想・評価

3.8
日本初リリース作品を劇場公開前に放送するWOWOWジャパンプレミアのタイトルが、そのまま邦題。有能な若手銀行マンがマネー・ロンダリングの証拠を見つけ、陰謀に巻き込まれるファイナンス・スリラー。AmazonPrimeVideoで鑑賞。

原題「Crypt」実在する仮想通貨、素人でも手を出し易いメジャーな暗号資産。クリプトは日本語で「暗号」、通貨と言う「Currency」語尾に付けCrypto Currencyと呼ぶ方が一般的。フォロワーの方で仮想通貨を運用してる方も居ると思うが、仮想通貨のメリットは主に3つ在る。①24時間取引可能。②海外への送金が迅速で安い。③大きな利益を出せる可能性がある、可能性です(笑)。デメリットは株取引に較べ値動きが激しく、リスクが大きい事。消失やハッキングの恐れも有る。

日本で一番有名な「Bitcoin」。サトシ・ナカモトと名乗る人物がインターネット上に公開した論文で、2009年から運用が始まる。Blockchain「分散型台帳」技術を用いて、ネットワーク上の複数のシステムで取引。中央銀行の様な発行主体の無い非中央集権的管理、記録の改竄は極めて困難。此の程度の知識で鑑賞に支障は無い。インテリ振ってるが中身はバカっぽいので安心して観てね(笑)。

父親役はスネーク・プリスキンKurt Russell。兄役は皆大好きChris Hemsworthの兄Luke Hemsworth。他にもレビュー済「ストレイ・ドッグ」Beau Knapp、「TIME/タイム」Vincent Kartheiserと作品規模の割にメジャーなキャストが並ぶ。監督は前作Adrien Brody出演のコメディ「High School」に次ぐ長編2作目John Stalberg Jr.。監督はRussellとSteven Seagalが共演(アレは共演かな?)私の好きな「エグゼクティブ・デシジョン」Additional Crewとして参加した事が、本作に繋がる。

あらすじの殆どを書く余計なお世話のFilmarksにしては、3行しか書かれてない(笑)。Beau Knappの設定が些か問題有り、堅物で曲がった事が大嫌い何て昭和世代っぽいけど、社会人の鉄則「長いモノに巻かれろ」自己防衛本能が無さ過ぎ。銀行マンなら不正を見付けても見ぬ振りをするのが普通(異論は認める)。公にして自分の首を絞めるが、本人に世間を悟る能力も欠如、正義感が強いだけではロシアンマフィアに勝てない。本作はJeff Ingberと言うアメリカで全く無名の原案、ソレを一部に熱狂的なファンの居る2014年「シグナル」流石の私もお手上げのCarlyle Eubankの脚本。

私はスリラー派なので一見すると小難しい話は大好きだが、田舎に住む酒屋の幼馴染がハッカー顔負けのスキルが有るとか御都合主義のオンパレード、流石はCarlyle Eubankと妙に納得したが、Kurt Russellはアクションに参戦せず農作業ばかりで挙句に人質に為るが、御年72歳なら仕方ない。ラストは脳筋アクションで乗り切る力技、当初の金融スリラーは何処へやら?。帰還兵Luke Hemsworthが戦闘員らしい射撃を見せたのが唯一の見所。

オムニ銀行と聞いて何かピン!と来ません?。ソウ皆大好き「ロボコップ」のオムニ社ですよ。左遷させる女上司を演じたのはJill Hennessy。彼女は「ロボコップ3」博士役を演じたので、単なる偶然とは思えない。関係ないけどロボコップの権利はソニー・ピクチャーズが保有「4」も創られる予定で「3」日本企業も登場したが、余りのダメっ振りに、リブート登場まで9年を要した。

虚偽ジャケ写や邦題で悪名高いアメイジングD.C.が今回もヤッテくれたよ。何が「ビッドコイン・ウォーズ 暗号資産の行方」だよ、1㎜ぐらいしかカスッて無い。普通に暗号を意味する「クリプト」で良かったじゃん。実は仮想通貨をテーマにする割に、作品自体に資金が集まらずクラファンで製作、だからメジャー俳優が必要だったが、劇場公開されてもサッパリ客足が伸びず、クラファン側から返金騒動が起きたのは、作品のテーマを考えると皮肉でしかない。

ビットコインがS2F理論で1BTCが1000万円を超える!と言う嘘塗れのネットニュースが懐かしい。仮想通貨は株の影響は受けないが、金融政策次第で億万長者(データ上)が一夜にして夜逃げするハメに。日本でもマウントゴックスやコインチェックで自殺者が出た。ソレでも自称インフルエンサーは、今でも「X」旧ツイッターでドージコインとかステップンを推してる。私はアメリカ銘柄の暗号資産しか手を出さないが、ビギナーの方は投資信託ETF株式拠出型から始めるのが良いかと。

作品の感想が全然書けてない(笑)。内容は手堅い創りで、意外な人物が裏切者とか、あの人が実は〇〇〇だったと言うスリラー要素に加え、家族ドラマを盛り込む事で、仮想通貨を理解して無い方も楽しめる仕様は、プロットの穴を気にしなければ悪くない。キャストではKatie役Alexis Bledelが良かった、因みにVincent Kartheiserの嫁。ラストでKurt Russellの笑顔を見れば、何か良い映画見た気には成る。何より仮想通貨を考える機会には為るし、今日も何処かでマイニングリグは動いてるのだろう。

現在進行形の暗号資産と対極の家族の絆を描く、アットホームなファイナンス・スリラー。
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