ペイン

さすらいのペインのレビュー・感想・評価

さすらい(1975年製作の映画)
3.8
『まわり道』を観たついでに『さすらい』も。これでヴィム・ヴェンダース監督のロードムービー三部作を一通り鑑賞🔎

本作『さすらい』は、映画として“骨っ節”があって、ロビー・ミューラーの撮影も冴えに冴え渡っているので、三部作中で最も高評価なのは理解は出来る。所謂“名作感”が一番強い。

ただ個人的には、評価は一番パっとしないが『まわり道』のあの不毛で不発な感じが一番“琴線”には触れた。『まわり道』くらいの“隙”があるくらいの感じがヴェンダースは丁度良いのかもしれない。『さすらい』はある種のホモソーシャル的側面も強めで男性人気が高そう。

←その意味では一番丁度よくバランスがとれた作品は『都会のアリス』かもしれない。

本作劇中で、
“映画は芸術だと父が言ってたわ。だから最近の映画は掛けない。どれも人間の目と頭を騙すことしか考えてない。人間に愚かな行動をさせるそんな映画を見せたくない。だから閉館する”といった言葉を登場人物の映画館主にセリフで言わせているヴェンダース。

凡人の私からしたら70年代なんて傑作・名作の宝庫だが、それでも“旧世代”からしたら当時すでに“映画”について思うことが色々とあったのだろう。
ペイン

ペイン