だい

リラの心のだいのレビュー・感想・評価

リラの心(1932年製作の映画)
3.0
かくれんぼをして遊んでいる子供たちが他殺体を発見し、その騒ぎに駆けつけた野次馬の中にいた被害者の知人が容疑者として逮捕され、状況から犯人と決めつけられるが、彼の無罪を感じ取った一刑事が私的に捜査を開始する…。という話。

現代の映画と比べると、主人公以外の心情が深掘りされていない感はあって、えっ、何でこうなったん!?ってとこが多々ある。
でもまぁ、他人の気持ちなんてわからないわけだし、逆に主人公に感情移入しやすくて良いかもしれない。

警察が来て全員が逃亡しなきゃいけない程度にはあのエリア一帯がイリーガルだったという部分で、当時のフランスにおける娼館エリアの立ち位置がわかるし、そんな中でしか生きられなかった人の屈折した気持ちというのがこの映画の肝なんですかね。
その生き方に疑問を持たない人、疑問で屈折してしまう人、疑問のためにそこから抜け出そうとする人、その対比がリラ、ジャン・ギャバン、宿のおかみさんらによって上手く表現されている気がするわけです。
異なる時代、異なる文化に対してなので、気のせいかもですが。

後年は寡黙な役が多いギャバンですが、本作では多弁で軽薄な小悪党。
大悪党でも小悪党でも、ギャバンには悪党がよく似合う。
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