三隅炎雄

イノセント・ドール 虜の三隅炎雄のネタバレレビュー・内容・結末

イノセント・ドール 虜(1986年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

フルチ唯一のソフト・ポルノだそう。いきなりとんでもない性愛プレイが出てきてひっくり返る。普通思いついても流石にアホらしくてあれを撮る人はいない。そこを平然と絵にしてちゃんと一本の映画に纏めてしまう。ワシはいったい何を見ているんだろう。奇想に半ば呆れてポカンとなる。

恋人を手術で死なせた医者を犬として飼って調教する女のリベンジもの。死んだ男の飼い犬を交点にして、フルチ自身の『ビヨンド』とマルコ・フェレーリの『ひきしお』を繋げて話を作っているというかデッチ上げているから驚く。
この死んだ男というのがヒロインを日常的に嬲って楽しんでいた変態男で、現在進行形のヒロインの復讐行為自体がその死者のサディスティックな性的欲望に組み込まれているのではないか、という発想が面白い。女が自分の感情や欲望と思っていたものが死んだ彼氏のそれに過ぎないのではないかというわけだ。しかも死んだ恋人はバイだから、ヒロインの体を利用して、中年クライシス真っ只中の医者を調教し自我解放してもいる。霊的3Pとでも言ったらいいのか、まったく変な話を考えつくものだ。ラストに広がるのは『ビヨンド』と同じ地獄の光景と見たがどうだろう。
三隅炎雄

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