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王の願い ハングルの始まりのPoMooNのレビュー・感想・評価

3.1
ストーリーは世宗大王が偉大な(ハン)文字(クル)を作り出して行く過程の苦悩と、仏教僧シンミ達と作成し、作った文字を普及させて行く過程で、儒教文化の為、仏教を忌み嫌う臣下達からの大きな反発に合う苦悩が中心。(一般的には色々な学者達と成作したとされてる)世宗のハングル作成の話としては、分かり易い作品だった。

当時朝鮮は中国の属国扱い。漢字を使い漢文で書く。が、教養の無い民は漢文は使えないし文字が無い。そこで世宗は漢字は国の言葉と音が合わない、民が漢文を使っても発言と合わず意思が十分に伝わらない、全ての民が使えるようにと、「音」に合わせた文字作りに取り組み「訓民正音」を完成させる。
作中では、王妃が亡くなる前に女官に故郷に手紙を書くことから広めようとするのが印象的だが、実際にはまだ、広まっていないから、受け取っても読めなかったはずだけど?💦作っても普及が大変というのが実情。苦悩に満ちた世宗にソン・ガンホ。穏やかではあるが臣下を抑え、意思を通す大王が適役。

蛇足①: 王命でもスムーズに普及してないのは歴史で明らか。第26代王、高宗の時にやっと国文化されたが、世宗から400年以上は経っているし、それでも漢字との混合。日本植民地時代にハングルと名称されたが漢字と混用。1980年代に漢字が推奨されなくなりハングル中心となったらしいから、世宗大王の夢までかなりの長い道のり。

蛇足②日本から来た仏教僧が冒頭出て来るが、韓国映画には珍しく、ちゃんと日本人を使っている。ヘンテコな韓国人発音の日本語では無い。

蛇足③邦題の王の願い、の「願い」は作中の諺文(ハングル)を作った世宗大王と僧侶シンミ達がこの文字が広まる事への願いの意と推測したけど、、?

蛇足④ 改めて日本の文字文化を再確認させてくれた。漢字を簡略化した万葉仮名から、平安時代には女性はひらがな・男性用にカタカナが普及しているから、それぞれ元々の文字を持たなかった国としては日本の文字作りと普及は早い方なんだと認識した。全くの別物を作るんじゃ無く、真似て、発展が上手い国民なんだと。そして漢字も混用してるし。世宗は凄いけど、日本人の柔軟性に改め目が行く
No.1190
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