ななな

糸のなななのレビュー・感想・評価

(2020年製作の映画)
5.0
幼少期の純愛が、様々な経験と時間によってさらに純度の高い愛になっていくのが見どころ。
大人になって「園田」と呼んでいた漣が、空港で初めて葵ちゃん呼びに戻るシーンが良かった。
闘病中の香の語尾が全て過去形になっていくシーンは中々に辛いものがあった。それでも自分の人生に悔いはないと言い切った強かさも感動的だった。
そしてなんと言っても、会社と友を失った葵が泣きながらカツ丼をかきこむシーン。作品を通して最も胸を締め付けられる、綺麗で、アンニュイなシーン。ここが一番の見どころだと思う。何があっても強く生きようと闘う葵の姿はとても美しかった。
漣が香を亡くした後、居酒屋で「そんな大したもん望んでねえよ」と吐露する竹原が歌う「ファイト」に込められた思い。一緒に歌う漣。シーンを通して辛い思いを重ねた大人たちが過去を悔やみ、偲ぶ様子はとても涙腺にきた。
最終的に、結ちゃんが漣と葵を"結ぶ糸"になったのがなんとも綺麗なラストだった。
自分の中でこれを超える映画は無いと言い切れるくらいの名作。
ななな

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