けーすけ

糸のけーすけのレビュー・感想・評価

(2020年製作の映画)
3.1
2020/08/12(水) TOHOシネマズ日比谷 シアター1 15:20回にて鑑賞。K-18

中島みゆきさんの名曲『糸』をベースに作られたというオリジナルストーリー。平成元年に生まれた漣(菅田将暉)と葵(小松菜奈)の平成から令和までの人生を描いた物語。先行上映をしていたので鑑賞してきました。

観終わった後にオフィシャルで予告編を見たのですが、「ダイジェスト版かよ!」ってくらいに大事なシーンが散りばめられているので、予告は見ずに鑑賞した方がいいかもですね。



圧倒的小松菜奈!!
小松菜奈のあの透明感はどこからくるのでしょうか。美の存在感が凄すぎです。本作では食事に関するシーンが個人的に印象に残っており、カツ丼を食べた場面と、終盤でとあるご飯を食べた時の演技がとても好きでした。

菅田将暉も勝手に一癖ある役が多いイメージを持っていたのですが、この映画ではどこにでもいそうな青年を好演していました。ハタチくらいの頃は少し頼りない雰囲気だけど、子供が生まれたあとはちゃんとお父さんっぽい空気を出していてすごいなあ、と。

脇を固める役者にも榮倉奈々や斎藤工、山本美月に成田凌と豪華な面々。話にガッツリとは絡んできませんが、菅田将暉が働くチーズ工房の長として出てくる松重豊がいい味出してました。

中学生時代の葵役・植原星空も小松菜奈っぽい雰囲気のある美少女で今後の要注目な一人かな、と。




キャストが素晴らしく、良い映画ではあると思いましたが残念ながら僕の琴線には触れず・・・。
以下、核心ネタバレはありませんが、本編内容・鑑賞時の感情にも触れますので未見の方はご注意ください。













劇中18年くらい時間の経過があるので、中学生の二人は必然的に子役が担当するのですが、冒頭での大人になった頃の漣が自転車を漕ぐシーンと、中学生の漣が花火大会に行くために自転車を漕ぐシーンをシンクロさせて「あ、この二人が同一人物なんだな」と自然にもっていく流れは良かったです。

ただ、時代の移り変わりにあわせて「平成〇〇年」と都度テロップが入るのですが、これが非常に邪魔に感じてしまいました。平成にあった大きな出来事として9.11の同時多発テロや、リーマンショック、3.11東日本大震災などの出来事も劇中でこれ見よがしに提示してきてくるので、くどさを感じてしまい…。カレンダーや携帯からスマホに変わったりといった部分でも自然に時間の流れはわかるのになー、と残念に思ってしまった部分でした。
また、それぞれの時代のエピソードに無理やり絡めた印象を強く感じてしまった次第。


2009年頃の菅田将暉が使っていた携帯がauのW53Sという機種で、「当時僕も使っていたなあ」と懐かしくなりました(どうでもいい情報)。


中学生の頃に惹かれあった漣と葵の二人、もっとくっついたり離れたりといったエピソードがあると勝手に思っていたのですがハタチの頃に再会した後はそんなに会う事なく、それぞれの時間が過ぎていく感じであまり感情移入する部分が少なかったのですよね。
葵の母親の件で偶然再会した時には「美瑛から函館まで車で行くんだ…」と北海道民の凄さを思い知りました(たぶん6時間くらいかかる)。


そのあとのシンガポールでの話も「これ必要なの?」ってくらいにペラッペラ。葵の成長&挫折的な見せ方なのかとは思いますが、このあたりで僕の感情の糸は切れてしまっておりました。
なんならピークは中学生時代の二人が逃避行をしようとしたあたりだったかも。



声を大にして言いたいのは表題曲使うの早すぎ!多過ぎ!中島みゆき成分濃すぎ!!といった所でしょうか。せっかく珠玉の名曲を元に作ったという触れ込みだから「ここぞ!」という部分で使ってほしかったな、、と。
劇中使用される曲も決して悪くはないのですが「せっかくならその時代を感じさせる曲を使えばいいのになあ」とも思ったのですが、2000年代半ばから2010年代に国民的に流行った曲があまり無いのか。さすがに「恋するフォーチュンクッキー」は合わないしな…。


終盤でも漣が葵を追いかけなきゃって気持ちはわかるのだけど、やっぱり「美瑛から函館まで車で行くんだ…」ってなってしまった。笑



人との繋がりは糸のようで、たまにほつれたり、切れたり、そしてまた繋がって、、、二人の織り成す人生ドラマとしては及第点でしょうか。ラストシーンの“あの時と同じセリフ”にもグっと来たので、満足はしております。


小松菜奈と菅田将暉が好きな方なら観ておいて損は無いと思います。


[2020-123]
けーすけ

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