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音楽のkuuのレビュー・感想・評価

音楽(2019年製作の映画)
3.8
『音楽』
製作年2019年。上映時間71分。
映倫区分PG12

アニメーション映画『音楽』の原作は、俳優としても活躍する漫画家、大橋裕之による『音楽と漫画』(太田出版)。
楽器を触ったこともない不良学生たちが、思いつきでバンドを組むことから始まるロック奇譚。

岩井澤健治監督が実写の動きをトレースする『ロトスコープ』という手法で7年の時間をかけて映像化。
4万枚以上の作画を手描きし、ダイナミックな映像表現のためにクライマックスの野外フェスシーンでは、実際にステージを組んでミュージシャンや観客を動員してライブを敢行するなど、これまでのアニメ作品にはないさまざまな手法が取り入れられている。

坂本慎太郎のほか、駒井蓮、前野朋哉、芹澤興人、平岩紙、竹中直人、岡村靖幸らが声優として参加。

声優陣には、楽器未経験ながら思いつきでバンド『古武術』を組む不良高校生・研二役にミュージシャンの坂本慎太郎、
研二の同級生、亜矢役に駒井蓮、
『古武術』のメンバー、太田と朝倉役に前野朋哉と芹澤興人、『古武術』をフェスに誘う『古美術』のメンバー、森田役に平岩紙、
そして研二を敵視する丸竹工業の不良・大場役に竹中直人。
このほか、山本圭祐、れっぴーず、姫乃たま、天久聖一も参加。
嗚呼、己の無知に恥ずかしい。
竹中直人以外は知らない🥺。

あらすじは、
これまで楽器と縁がなかった不良学生の研二、太田、朝倉は、思いつきでバンドを結成。
ある日、彼らのバンド“古武術”は、“古美術”のメンバーである森田から“坂本町ロックフェスティバル”への出演を提案される。。。

どないな楽器にせよ(ボーカルも含め)ポピュラーミュージックを始める人の多くは、当初、人気者に(モテたい)なりたいとか、好きなミュージシャンの曲を自分も奏でてみたいだとか、今作品の様に訳も分からず楽器を持ってかき鳴らして始めるなどで楽器を手にする。
(ベースがいないのでとりあえず○○くんベース担当ね!っと不本意な場合も無いことはない)
小生も似たり寄ったりの始め方で、今でも飽きずにギターやピアノを触ってる。
始めに手にしたのは、姉が修理にとYAMAHA(京都JEUGIA)に預けてたフォークギター。
そのフォークギターで、ハードロックギタリストに成りきりって弾いてみるも、どうも音が違うような気がして、暫く思案した。
ピキーン💡
確か、ハードロックギタリストの音はアンプ(当時はステレオのアンプを想像してた)から音が出てたよーなと、家に眠ってたハチトラカラオケ(8トラック・カートリッジテープ再生アンプ付き)に何とかフォークギターを通電出来ないかと思案し、付属のマイクをフォークギターのサウンドホールの中に無理やり突っ込んで、コードはガムテープで止め、ジャックに差し込み電源をいれて、即席エレキギターのデビューを飾った。
今思えばアホみたいなことをしてたと思うけど、現代のように色んな情報が手に入らない頃は、大なり小なり、アホな事をして(今作品もまた似たようなモンかな)アレコレと小さな壁にぶち当たりながら(今作品の主人公たちはエレキベースのペグ〔弦をまいてチューニングを合わせるための部品で弦楽器には欠かせないパーツ〕はなにに使うのか考えるシーンなどがあった)、それなりに分かってくる。
物事を覚えたりするときは、そないな些細な事は、嗚呼それはそうなんやと、勝手に理解して先に進んでたら、自ずと、気がついたらその意味がわかってるものです。
今作品見たいに『ビョーンってするもの』なんて理解で十分なんやと納得して、懐かしさもあり、ほのぼのと観れました。
でも、時に些細な事を追及し、色んな奏法も生まれてくることもあんのやし、人生はわからんもんです。
余談ながら、Beatlesが考案したとされるフィードバック奏法(厳密にいえば、アメリカなどでブルースのミュージシャンがライヴで披露していたが、世界で初めてレコーディングでフィードバックを使ったのはBeatles)や、ヴァンヘイレンのライトハンド奏法(タッピング奏法)とかも、些細なことからうまれたモンやと聞いてます。
まぁ、そんなことを思い起こす、ポピュラーミュージック奏者ビギナーのアルアルがある作品でした。
また、主人公たちは、ヤンキーとは云え、個性もキツいが、塑性ある青年たちやからこそ、『ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト』において第19位のヴェルヴェッツのビートに乗せて描かれる青春に夢があると感じました。
血と汗の滲んだのがうかがえる、現代には驚くべき総手描きアニメーションの、なんとも云えない古めかしい動きに、地を這うようなグルーヴ感をチョイ感じさせてくれたかな。
また、今作品が、よくあるバンドモンとちゃうとこは、アイディリックな世界観の中で、言葉で多くを語らへん演出方法てとこかな。
『僕の~ぅこのモヤモヤを音楽で〜』みたいな典型的思春期ルサンチマン物ではないのがとても好感が持てる作品でした。
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