ちろる

フラグタイムのちろるのレビュー・感想・評価

フラグタイム(2019年製作の映画)
3.5
3分間だけ時間を止められる能力がある森谷美鈴は、人と喋るのが苦手な女子高生。
喋りかけられると、息が止まり、手にぎゅっと力が入り、時が止まる。

ある時また時間を止めた森谷美鈴はずっと憧れていた村上遥の下着をそっとのぞく。

頭が良く、スポーツ万能で物凄い美人で色んな人の望みを快く叶えて来た遥に物凄い憧れと欲情を持ってしまった美鈴、しかし3分間だけの止まった時間は、美鈴だけのものではなく、村上遥のものでもあった・・・

突然スカートをめくる美鈴に驚くこともせず、むしろ美鈴と急接近する遥。
遥はあれよあれよと美鈴の喜ぶことをしてくれるのだが・・・

遥の持つ心の闇、それは全ての人にとって都合良い存在でいることが当たり前になってしまい、時間が止まってる時間でさえ何をしたいのか分からないってこと。
「つまり空っぽ」と自分のことを評価する遥。

『好き』
ずっと遥を見続けた美鈴だからこそ言えるその言葉。

他人となるべく関わらないようにする事で、集団から外れた美鈴と、集団の中で自己を消してまで他人の願いを叶えていた遥は全く違うようでむしろ同じような立場だったのかもしれない。

大勢の中で1人の『人間』になることはものすごくエネルギーのいる事。
だけど、「あなたを好き、大好き」そうまっすぐな瞳で伝えてくれる誰かがいるならば、大丈夫。

単なる百合アニメーションかと思ったけど、意外にも生きづらさで叫びたい思春期の子どもたちにもハマる青春映画でもあった。

おとなしそうな女の子が突然パンツ見るっていう衝撃エピソードから、まさかの真面目なエンディングになるとは・・・
なかなかキャッチーなお話であるのは言うまでもない。
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