ペコリンゴ

夏、至るころのペコリンゴのレビュー・感想・評価

夏、至るころ(2020年製作の映画)
3.7
記録。
熱く、若く、青い夏。

池田エライザ原案・初監督作。
若手女優の監督作と言う事で色眼鏡で見ちゃいがちかもしれないけど、なかなか良い作品だなったなと。

高校3年生、人生の岐路と言えるであろうセンシティブな時期だ。進学して公務員になり家庭を築く。共に続けてきた和太鼓をやめる宣言と共にささやかな夢を語る親友。彼はそれを幸せと形容する。一方で自身の進路を思い描けない主人公は幸せとは何かを問いはじめる。

かくいう自分もそうなのだけど、本作の主人公に共感する部分ってかなり大きいのではないだろうかって思う。親友とは言葉通り「親しい友」なのだが、細かい定義ってのは人によって違うかもしれない。ただ少なくとも自分と同じ何かを共有し、同じ土俵にいる、そう思える友人を指すことが多いように個人的には思う。

要するに本作で描かれているのは、将来を語り出した親友の「先に行っちゃった感」と、自分の「置いてけぼり感」。これ痛いほど分かるんですよね。まるでかつての自分を見ているかのよう。

主人公が自問自答し幸せを見つけ出そうとするのは置いていかれまいとする心の現れで、こいつと同じ土俵に立ってたい、親友でいたいって思うからこそだと思うんです。

風変わりな女の子とのボーイミーツガールや、忍び込む夜の学校、あんなにキレイに見える煙突…。この辺りも素敵ですよね。単なるブロマンスに終始しない良く出来た青春映画だと思いました。