酸化

スターフィッシュの酸化のネタバレレビュー・内容・結末

スターフィッシュ(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

映像美、カメラの構図や場面のつなぎ方、さまざまな表現技法があり、見ているだけでも楽しかったです!
個人的に、アニメーションが入るところで『コングレス 未来学会議』を思い出しました。アニメーションや暗闇から一気に場面が移り変わっていく表現で、現実と幻、自身の認識が正しく維持されているのか、現実が壊れつつあるのか?といった疑問が渦巻いきながらも物語が進んでいくという作品の雰囲気が分かりました。

ただ、予告などではホラー要素少なめのおしゃれめ映画としての面を強調していましたが、しっかり怖いところは音や映像で驚かせてきます。(音や映像で急に驚かせてくるホラーが苦手な方はお気をつけください。)

主人公のオーブリーが罪悪感を抱えているようでありつつも、一体何がオーブリーとグレイスに何があったのか、エドワードとは何者かが曖昧なまま進んでいって鑑賞者に想像を委ねる全体的な作品の雰囲気も、映像表現と合っていて(そういう答えが具体的・容易な作品ではなく、考えさせる系統だな)と分かるので楽しめました。

個人的には、「グレイスとオーブリーは親友同士であったが、過去の問題で仲違いをしており、最も仲がよかったときとは関係性が変わっている。(そのため、オーブリーは悔恨しており、グレイスの助けになれなかったと告白する場面がある?)グレイスは過去に、オーブリーから世界が滅んでしまえばいいという願いを知った。『信号』という世界に大きく影響があるものの存在をグレイスが知ったとき、オーブリーが過去に向き合いながら『世界を助けたい』という願いを抱いて叶えようとテープを探し繋げたとき、オーブリーが過去に願った世界滅亡が『オーブリーが世界を助けるために』動いたとき叶うようにした」という筋書きかなと私はぼんやり思いました。
自分で言語化しながら、つ、辛いな...と思いました。しかし、復讐を願っていたとしたらこれくらいはしてやりたいと思っていたのかもしれないと作中のとぎれとぎれの場面から何となく読み取れる気もしており...
(海岸で裸になる場面を止めようとしている→オーブリーが過去にした過ちは、未来のオーブリーは止めたいと思っている? 肉体関係にまつわる問題があった?)
(顔がない男性→エドワードのこと?顔を思い出せない・思い出したくないほどの何かがある?)
(グレイスの家に忍び込む→オーブリーはそれほどグレイスのことを大切だと思っていた→しかし、オーブリーはグレイスを裏切っている)
(薬指の指輪は罪を忘れないため→結婚や婚約などの恋愛に関することで過去にオーブリーは何かをした?)

許して、忘れるというのも、グレイスがオーブリーを許して、忘れるためなのか...

最後の場面は、オーブリーが罪を侵して過ごした日々の回顧とそれらが切り取られて明確にさらされることなのかなと思いました。(全然理解しきれていない解釈だと自分でも思います。)

作中で、「スターフィッシュ」という作品を撮影していたり、水槽に沈むヒトデが何度か映されていたりして、「物語という構造への何かしらの提起」や「スターフィッシュに込めた隠喩」などもあるのかなと思いました。
しかし、全体的に映像で構成された詩の作品のようだという印象もあり、あまり考えすぎるのは意味がないのかもしれないとも感じています。(考えるより、感性で読み取った方がいい作品というか...)
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