シャチ状球体

スターフィッシュのシャチ状球体のレビュー・感想・評価

スターフィッシュ(2018年製作の映画)
3.7
生そのものや死そのものよりも、喪失ははるかに明確な輪郭を持っていて永続的な効果を人に与える。

親しい人を喪った時、相手が相手ではなくなったのに自分が自分のままであることが耐えられなくなるのかもしれない。
劇中に登場するミックステープは死者からのメッセージという体の自問自答であり、この物語はオーブリーの精神世界で起こる混乱から受容までの過程を外的世界の変貌という形で表現している。

謎のモンスターに襲われそうになったり、急にアニメーションになったり。目まぐるしく移り変わっていくオーブリーの心の中で虚実入り混じるイメージが流れては消えていく。それが非常に抽象的なのでドラマとして深みがあるわけではないものの、人が喪失に打ちひしがれてから立ち直るまでの内的世界を丁寧に描いたうえでのラストシーンは結構感動。

とても個人的な世界だけで全てが完結すると知ったうえで観れば、そこまで摩訶不思議な映画ではない……。
シャチ状球体

シャチ状球体