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スターフィッシュのレントのレビュー・感想・評価

スターフィッシュ(2018年製作の映画)
3.5
喪失と再生の物語。

恋人を裏切り、病床の親友を放っておいた罪悪感を抱えた主人公オーブリー。親友グレイスの葬儀の後に彼女の家に潜り込み一夜を過ごすと外の世界は一変していた。

町から人々の姿は消え、恐ろしい餓鬼のようなものが徘徊する世界に。元の世界を取り戻すには親友のミックステープを集めることが必要と知った彼女は冒険の旅に出る。

本作を見て「ミスト」と「ジェイコブズラダー」を思い出した。あの巨大生物の映像はアングルからどう見ても「ミスト」だし、餓鬼が徘徊する世界は煉獄をイメージした「ジェイコブズラダー」の世界なんだと思う。恐らく罪悪感から現実逃避をした彼女が作り出した世界。

かけがえのない親友をなくした悲しみ、その親友を見舞わなかった罪悪感、恋人を裏切った罪悪感。自己を否定する彼女を餓鬼たちが地獄へ引きずり込もうとする。

トランシーバーから聞こえる「君は生きたいんだね」という声、グレイスのミックステープを手に入れたオーブリーに餓鬼は離れていったことから彼女の生きたいという意思が勝ったのだと思われる。
すべてがそろったミックステープには「許して忘れよう」の文字が。自らの過ちを受け入れて新たな一歩を踏み出すのだ。
彼女はそのミックステープを世界に放ち、新たな世界へと旅立っていく。

これは実話に基づくということから監督の体験談なのかな。もちろん恋人や親友を裏切ったという部分。

さすがミュージシャンが監督なだけに音響がよかった。ただ、ジャンプスケアで驚かせるのはかなり意地の悪い演出。
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