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ミッドウェイのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

ミッドウェイ(2019年製作の映画)
3.5
          ゲーム化する戦争映画

ミッドウェイ海戦をかなり正確に再現していると言われています。その正確さは史実や戦術を言うのでしょうが、CGを多用し、人物の感情を抑え気味に群像劇として描いたことで、人間同士の戦いから離れ、乾いた戦争になり、シミュレーションゲームのようにみえました。

アメリカ兵は任務を仕事(job)ととらえ、現場で飛行機で出撃するか否かは本人の体調等により個人の意思で決められます。日本みたいに「口答えするな」と殴られたりしません。
母艦に無事帰還すれば救護隊が駆けつけたり、仲間が抱き合って迎えます。

対比して日本人が捕らえた捕虜への扱いの残忍さをさらりと描いていました。また、中国本土の軍事施設でない民間人への攻撃もさらりと(東京を空襲したのが原因だろうと言われていました)。

知らなかったことなのですが、もともとは中立だったアメリカがそれほどまでに日本を恐れ、仮想敵国としたのは、日本がアメリカ本土(オレゴン州やロサンゼルス等の西海岸)を空襲したことがきっかけでした。アメリカ本土を爆撃されたのは、それが最初で今のところ最後で、遠いはずの日本が近いヨーロッパよりも先駆けて空襲してきたことで、パールハーバー以上の恐怖心が沸き上がったようです。

劇中でいかに日本が恐ろしいか、兵器、技術、戦術等日本が格段に優れていることが語られていました。

じゃあ、なぜ?

超優秀な暗号解読マスターが過去の暗号を全部記憶していて、パターンを解読できたのがミッドウェイ海戦の勝敗を決めたとありました。

どこに移動するかわからない日本の艦船。アメリカ西海岸上陸だけは絶対に阻止したいアメリカは、ミッドウェイ諸島沖に日本の艦隊がやってくるのを解読。その後も日本は暗号解読され続けます。

天才的人間コンピューターによって戦況が変わっていきます。というか、暗号読まれているのがわかったら、なぜ日本は対処しないのか不思議でした。勝ち負けを応援するつもりはもちろんなくて、アメリカが日本をどうとらえていたのか知りたかったのです。

CGで作られた映画は何か魂が入っていないというのか、心揺さぶられず冷やかに知識編として観ました。

人がたくさん死ぬ戦争映画で感動したいなんて思っていなくて、その作品の中に反戦の意図を汲みたいから観ているのですが、本作品は微妙なヒーローものでした。昔ながらの熱い正義感も抑えめ、命懸けで部下を守るのもあるけど…

CGだから戦闘シーンは迫力ありますが、だから?って感じ。戦争映画に迫力を求めたら、反戦とは逆のアドレナリン放出快感を求めていることにならないかな。アメリカの戦争映画の意図はやはり娯楽映画だと思います。あまり日本を刺激せず、日本を徹底した悪党までには仕立てていませんでした。
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