かるまるこ

ミッドウェイのかるまるこのレビュー・感想・評価

ミッドウェイ(2019年製作の映画)
2.0
ひたすら空虚。なんだこのウィキペディアのコピペみたいな脚本。大勢人が死ぬのに一切心が動かされない。血も涙もない大量破壊兵器ならぬ大量破壊映画。こういうメンタリティが実際、戦争を起こすんだと思う。

日本側も案外フェアに描かれているとする向きもあるが、そりゃ史実を時系列順に並べただけの脚本(と呼べるかどうかも怪しいレベル)なので、重要な出来事を年表通り書き連ねてったら普通にそうなるよねって話なだけだと思う。
要するに思想がない。史実をどう捉えるかという視点がない。
テーマの重さにビビったのか気負いすぎたのかわからないけど、それが感じられない以上、本当の意味でのフェアな態度とは違う。

どう考えても今回の登場人物の中でドラマになりそうなのは日本語を学び、日本駐在経験もあり、山本五十六とも面識のあるレイトンだけなので、最初の入り方こそ納得だが、その後なぜか一飛行機乗りのディックに焦点を絞ってしまったため、ただでさえ年表的で味気ない脚本が余計に散漫な印象になってしまった。

レイトン視点での情報戦を主軸とし、日本の戦略的失敗、当時の日本の上層部に如何に慢心や先入観、希望的観測がはびこっていたかをもっと描いた方が絶対に面白くなったと思う。

そもそも企画として今更感があるし、中国資本で、ドイツ人監督が撮る、日本との戦争を描く、アメリカ映画、という何だかわけのわからないチグハグさが確実に映画に悪影響を与えている。

それにエメリッヒに史実は向かない。やっぱり宇宙人相手に特攻するフィクションじゃないと。しかも特攻好きなエメリッヒに日本が敵国となる題材は明らかに適任じゃない。むしろ彼が撮りたいのは日本の特攻隊の話だと思う。

俳優陣が良いだけに非常に残念な出来。
特にアーロン·エッカートの無駄遣いがヒドい。
星1つ分はこんな脚本でも出演した俳優陣に。
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