うにたべたい

ロード・オブ・モンスターズのうにたべたいのレビュー・感想・評価

4.0
B級テイストのチープな映像が日本で大人気な映画製作会社・アサイラム製作の怪獣映画。
アサイラムはその時の大人気映画に便乗した作品を作ることが多く、本作はジャケット、及びタイトルからお察しの通り、かの大ヒット怪獣映画の便乗作となっています。

私自身、本作でアサイラムを知ったので、パッケージだけ見てゴ○ラ関連の何かだとばっかり思っていたのですが、中を見てびっくり、パッケージの怪獣出てこないです。
正確には類似した怪獣は登場し、多分、パッケージの怪獣はこいつだと思うのですが、こんな上空に口から光線を出すようなシーンはなく、怪獣同士の戦いはあるものの元となった作品とは似ても似つかない感じなので注意が必要ですね。
うっかりアマプラでこっちを観ちゃって、「やっぱり特撮がすごいよね」と言っちゃった挙げ句、「あのヒトデマンみたいな怪獣に羽が生えたシーンに度肝を抜かれた」なんて言った際には赤っ恥をかくこと請け合いです。

ただ、私、アサイラム作品を観るのが初めてなのですが、思ったよりも悪くなかったです。
むしろ、日本の怪獣特撮と比較すると、本作のほうがしっかり作られているのではと感じました。
元作品を見たときも感じましたが、やはり怪獣同士のプロレスを撮った場合は特に海外の方が"わかっている"と感じる部分があります。
怪獣映画としてエンタメ性が高く、私的には本作はB級な感じを受けませんでした。
十分に作り込まれた、面白い作品だったと思います。
視聴後、色々読んでみると、本作はアサイラムらしくない良作という感想が散見されていたので、アサイラムの入り口としてはふさわしくなかったのかもしれないです。

大金持ちの企業社長フォードは、利益追求のためロボットを用いてケルマディック海溝の海底調査を行っていたのですが、謎の巨大な何かによってそのロボットが破壊されてしまいます。
ロボットの回収のため、その海溝に向かうのですが、そこに待っていたのは、マグマを血液に持つ、超巨大なカイジュウ"テング"だった。
なんとかして"テング"の手から逃れたが、食料を求めて陸地を目指していることに気づいた一行は、テングを止めるために行動を開始する、という展開です。
怪獣調査を行う秘密機関も出てこない完全なオリジナルのストーリーで、巨大な蛾も、三つ首の翼竜も出てきません。
ただ、怪鳥的なものは、ゴジラSPのラドンレベルで大量に出てきます。
この怪鳥がゴジラSPのものとは比較にならないくらいとんでもない奴らで、せっかくキャラが立ってきた軍人のお姉さんを容赦なく焼き殺すに飽き足らず、初期から登場していた主人公の仲間もあっさり殺します。
最後まで死なないポジションかと思ったのですが、ここで敗退させるのにはほんとに驚きました。

なお、CGは、元作品に比較するとさすがにしょぼいと思いますが、比較対象が悪いかなと思います。
人間と特撮映像との合成も自然だし、普通に一般レベルの映像です。
B級特撮を欲ししている方には、是非"ネズラ"や"アスラ"、"チレラマ"等をおすすめしたいですね。

カイジュウのデザインも独特で素敵でした。
"テング"はヒトデのようなフォルムなのですが、終盤こいつに巨大な羽が生えて空を飛ぶあたりで大興奮。
血液はマグマだし、今時珍しい怪獣図鑑で読みたくなるようなカイジュウ様です。
また、"テング"と戦う"キラー"というカイジュウも、ワンダと巨像に出てきそうな神秘的な体躯で、怪獣好きの心くすぐります。
思わぬ良作でした。怪獣映画としておすすめできる一作です。