くもすけ

ワイルド・ローズのくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

ワイルド・ローズ(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

グラスゴーもカントリーも全く馴染みがない。
グラスゴーは造船や機関車などの重工業産業で栄えたが、海外新興国との競争に敗れ、1950年代には重工業産業はほぼ衰退。一方人口過密の解決策とした都心高層住宅タワー・ブロックは強盗・暴行・麻薬売買などの犯罪の巣窟になったため2000年代に取り壊された。健康、環境問題により平均寿命が他の都市に比べて低くなるグラスゴー効果が報告されている。

政府は1980年代から都市再生に取り組み、英国最大の展示会場や美術館、博物館を次々に建設して、文化・芸術関連のイベントを招致するなど、「芸術の街」をアピールしてきた。その結果、観光産業が復活して雇用も上向き、都市人口も再び増加に転じた。2013年から政府の補助金でスマートシティ計画が始まり近年その効果が実感されている、らしい。
2017にSNPが30年以上続いたグラスゴー議会の労働党支配を終わらせ、ブレグジットで一層拍車がかかったのか過半数に迫る勢いを保ちナショナリズムの気運が高まっている。

ローズが駆け込むBBCのボブ・ハリスは2013年から始まる国際カントリー音楽フェスのプレゼンターを務めている名物DJ。

グラスゴー、アイルランドでは、カントリー音楽は人気がある、と脚本のニコル・テイラーは言う。人気の理由は、グラスゴーからアメリカへの移民が多く、残された人々が憧れの気持ちを持つからだという。ローズが歌いそうな歌詞を書くとき、90年代の女性カントリー歌手を参考にしたそうな。
テイラーはグラスゴー出身の脚本家で、過去作では暴行事件を目撃した女性が法的な証拠とみなされないずさんな捜査を描いたドラマ、代理母のドラマなど書いているようだ。今作でこの街が舞台なのもフッド感に力点置いているのも納得

ローズは熱心なナッシュヴィルファンだが、自作曲がなくて楽器もできず、憧れのDJからメッセージもないの?といわれてしまう。それで作詞を始めるかと思ってたところ、金持ちのホームパーティーでデビューをお膳立てされたのに気持ちが乗らない。ローズに、近寄るなと警告する旦那は貧困地域出身だが、宅地開発で一財なしたのか?彼らの言う音楽の街グラスゴーを背負うにも、ローズには強がる体力が残されていない。
子供と犯罪歴、金欠が文字通りの足枷だが、1年の収監理由は麻薬取引に巻き込まれただけで、交友関係は気安い飲み友だけ。悪辣さが微塵もなくワイルドというのとも違うような

歌はいいんだけど、ナッシュヴィル行く→フェスで大成功が性急。あと10年組んでるのにバンドとの描写なし。パートナー不在で高齢の母との対立・協力関係を強調して、カントリーゆえなのか歌手へのあこがれ批判にちゃんと向き合うシリアスローズ

https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/080200047/080500031/?P=2
https://www.latimes.com/entertainment/movies/la-et-mn-wild-rose-music-jessie-buckley-20190624-story.html