ドッペルゲンガーを自己逃避の象徴として用いた点がユニーク。遁走や堕落は自由でもあり、安住の地を失うことでもある。アイデンティティ喪失への恐怖と葛藤を、頽廃的なショーパブの景色や、焦燥感を刺激する秒針の音で表現したやや抽象的な作品。
ブロンドも赤髪も似合ってしまうイングリッド・ガルシア・ジョンソの美貌! 特に終盤のやつれ果てた表情はたまらない。
エロティックミステリーという誤った先入観をもたらす邦題や謳い文句のせいで"ガッカリ映画"にされている向きがある。配給会社が映画を殺すのが本当に嘆かわしい。