nagarebosi

フェイクのnagarebosiのレビュー・感想・評価

フェイク(1997年製作の映画)
4.8
これは泣けるなあ…。

ドライなイメージのマフィアにも義理・人情があるんだなあ、と感じました。
「インファナル・アフェア」とはまた違った囮捜査官のストーリーですが、各キャラクターの心情が細かく描いており、辛さや苦悩が役者さん達の名演により微細に描かれています。
悲哀に満ちたパチーノさんの演技がスゴい!こんなに情けなく出世出来ない、この世界で生きるには決して上手くない人物を、猫背気味で少し訛りのある話し方で演じてます。「スカーフェイス」のギラギラ感は微塵も無く、ちょっとした仕草や表情だけでも感情が伝わる演技は絶品!デップさんも仕事と割り切れない感情を抱きながらも抜けたい部分も、分かるなあ、と納得。特に後半の奥さんを平手打ちした場面からの心情は、そうだろうなあ…、と思いながら観ていました。
衣装や髪型等も手伝い、各キャラクターに厚みが出て重層的な人間ドラマを描ききった監督の手腕は見事。タイトルデザインもさすがカイル・クーパー。

ラストのパチーノさんが泣ける…。