このレビューはネタバレを含みます
自分はもちろん、90年代の再評価以降の活動しか知らないので、NY活動期についても、NHKあたりのドキュメンタリーで見て、「なかなか過激なことをしてたんだなー」くらいの印象だった。
が。
当時の状況をよく考えたら当然なのだけどとんでもない困難と苦難。
歪んだ家庭環境の中でのトラウマ、
女性蔑視の中での疎外感、
出口を求めて"身を賭して"渡った先でもまた性差別、
そしてさらに人種差別に合い、
そんな逆境で生み出した表現手法を盗まれ、
失望で帰国した日本でもまだ受け入れられず。
身を崩して精神を壊しても突き進むのは「絵を描く事でしか生きられない」から?
「私の中から溢れてくるのよ」なんて言う(それに似た事は仰っていたが)、呑気な事じゃなく。
絵を描く事が、生を回すこと。
絵を描く事で、生活のためという以上に自分の居場所を作ろうと必死なのだ。
地元松本の親友という方の語る"身を賭して"ということば以外に、絵を描く事に対する執着は表しようがない。
NY時代知る人が口々に「彼女はとにかく必死でした」と語っているが、NY時代に限らず、常に必死なのだ。生きることに。とおもう。
この作品を見終わって、彼女が今なにを感じて作品を作っているのか、なにか感じ取れた気がする。
今彼女が生きているこの時代に、今だからこそ彼女が表現する作品に触れられて幸せ。