アメリカ・スタンフォード大学で実際に行われたという7日間の心理実験。それは、刑務所を舞台に人は特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとしたものだった。
私はこの実験を元にした2001年の作品「es(エス)」を初めて見たときにすごく興奮したのを覚えている。
スタンフォード大学心理学部で実験をするために20名ほどの被験者を集めて無作為に「看守役」と「囚人役」に分けられ、学内に設けられた模擬刑務所に収容され7日間隔離する。
最初はそれぞれの役を演じるだけの簡単なバイト感覚だったはずが、時間が経つごとに人間の持った欲やいろんな感情が溢れ出して死者まで出る大きな事件へと発展してしまう。
「es」という映画はまさに、ハラハラドキドキでこの映画はすごい!となったのだが、、、。
今作はそのパロディ。
時間も短い分、実験に持っていくまでの雑な流れ。
参加者の少ない人数や一人一人の情報不足。
「es」とは別ものだと割り切りたいところではあるが、どうしてもあのレベルと比較すると、物足りない。
男女同じ監獄に入れて過ごすともっと欲深い展開になるのかなと思ったけどもそんなこともなく。
みんながみんな素直な良い子ちゃんたちでリアルではなかった。
ただ、実験的には肩書きによる変貌については何名か魅力的ではあった。
看守と囚人なら間違いなく看守の方が権力あるし良いなとは思うのだが、人前で偉そうに言うことがしんどい人間もいる。
そしてそんな人間を見るとイライラしてしまう人間もいる。
感情がごちゃごちゃになる感じは気持ちよかった。
キャストに板野友美が出ててびっくり。
なんか久々に見たなという感想と共に彼女の演技が魅力的だった。
オチも含めて、ツッコミどころ満載の作品ではあるがこの作品を見て「es」を見返したくなった感情が出てきたというのは、良かったと捉えよう。