takato

犬王のtakatoのレビュー・感想・評価

犬王(2021年製作の映画)
4.0

 同じスタジオ「サイエンスsaru」で「平家物語」を制作したが、それとは全くタイプの違う物語であった。序盤の盲人の主人公には音が映像として想像されるという見たこともない描写、中盤以降の琵琶伴奏の猿楽、というよりバリバリに尖ったロックフェスティバルのような踊り狂う展開といい、もう過剰過ぎて呆気にとられるレベルである。


 それでいて、「平家物語」とテーマは共通しているのが興味深い。「私達はここにあった。そのことを忘れないでくれ」という願い。報われない者、見捨てられた者、敗れ去った者たちも確かに生きていた、生きていたんだ!というその叫びはお上品にかまえている余裕などない痛切なものであった。
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