TaiRa

犬王のTaiRaのレビュー・感想・評価

犬王(2021年製作の映画)
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能楽をロックにしちゃうアイディアが先に進んでいかないのがもったいない。

湯浅政明の音楽要素の取り入れ方としては過去作の方が焦点絞れてて楽しめた。主人公たちがロックミュージシャン化してから映画としては停滞する感じ。ライブシーンの踊りや演奏のアニメーションは丁寧なんだけど、画的な盛り上がりが物足りない。実写においては、踊りや演奏の捉え方はあれでも間違いじゃないんだけど、アニメーションにした途端、画持ちが悪くなる。あの撮り方は生身の身体という保証がなければ成立しないのか。あくまで「優れた身体性」表現に関してはだが。今作の身体性表現はもっと自由自在であって欲しかった。実際、異形の者だった犬王のアニメーションは活気に満ち溢れていたし。もちろん、身体を取り戻して行くに従って自由を奪われるというストーリーな訳だけど、もう少しバランス調整は出来たと思う。演奏する曲もバリエーションがなくて残念。「犬王」3回やるのは何なんだろう。能楽のフォーマットをロックアレンジするって意図があるのかもしれないが、ポップスのフォーマットに慣れ親しんだ耳で聴くと、やっぱただのつまんないロックなんだよな。言葉に重視した点も拍車かけてるけど。一応、音楽映画なので音楽がピンと来ないと満足度は低い。
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