栞

犬王の栞のネタバレレビュー・内容・結末

犬王(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

なぜ今まで観てなかった?傑作…アニメーション表現や声優陣はもちろん、物語がすばらしい。呪いを受けて虐げられ、世の中から亡き者にされてきた2人が出会い、タッグを組んで拾い集める平家の物語…。いわば、自分たちと同じく世の隅に追いやられ亡き者にされてきた人たちの声を拾い無念を晴らす行為でもあるから、その彼らの関係性にグッときた。本作の山場は、パフォーマンスによって犬王が身体を取り戻し面を取るシーンだと思うけど、それからも話が続いていくところがこの物語の本質だなと。

調べていて、『陰陽師』の中で「名前はこの世で一番短い呪(しゅ)」という言葉が出てくるらしい。まさに本作でも、目に見えぬものでさえ名前という呪で縛ることができるという、日本古来の思想が描かれている。ラストシーン、600年もの長い時間がかかったのは友有が名前を変えていたからだけど、犬王は友有を守るために自分たちの物語を封印したんだよね…2人が和解するためには確かに必要な時間だったのだろうな。

日本古来の思想を時代背景としながら、現代的なロックを使って物語を構築していく作り込みのすごさよ…胸熱でした…
栞