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ドリームプランのYYamadaのレビュー・感想・評価

ドリームプラン(2021年製作の映画)
3.6
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈テニス素人、娘を世界王者に〉
 ~14歳の少女、世界王者に肉薄 /
 1994年
・場所: アメリカ/コンプトン
・人物: リチャード・ウィリアムズ

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・テニス経験のないリチャード・ウィリアムズは、自分の子どもをテニスプレイヤーに育てるため、独学でテニスの教育法を研究して78ページにも及ぶ計画書を作成し、常識破りの計画を実行に移す。
・ギャングがはびこるカリフォルニア州コンプトンの公営テニスコートで、周囲からの批判や数々の問題に立ち向かいながら奮闘する父のもと、姉妹はその才能を開花させていく…。

〈見処〉
①常識破りの計画。信じ続けた
 破天荒な父の驚きの実話——
・『ドリームプラン』(原題:King Richard)は、2021年に製作された伝記映画。
・「姉妹が生まれる2年前に書いた、2人を世界チャンピオンにする78ページの計画書」…本作は、テニスの国際4大大会「グランドスラム」計30回の優勝、オリンピック4大会で計5つの金メダル。パワーテニスの新風を吹かせ、世界最強のテニス・プレイヤーと称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界チャンピオンに育てあげた、テニス未経験の父親の実話を基に描いたドラマである。
・本作で製作を兼ねる主演のウィル・スミスは、第79回ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞。また、第94回アカデミー賞でも作品賞・主演男優賞・助演女優賞(アーンジャニュー・エリス)・歌曲賞(ビヨンセ)、脚本賞・編集賞の6部門にノミネートされている。

②結び…本作の見処は?
◎:「親が子供を信じる家族愛の物語」。原題「King Richard」から想起されるように、娘にとって絶対的な存在でありながら、その破天荒な考えを妻に諭される、等身大の父親像をウィル・スミスが熱演。勝利よりも、相手へのリスペクトを与える教育には、賛同出来る点もある。
○: ビーナスとセリーナを演じた2人の少女女優のテニスプレーは本物志向で、リアリティーが高い。
○: リチャードに翻弄されるテニスコーチを演じたジョン・バーンサル。名バイプレーヤーぶりを本作でも発揮。
○: 作中に登場するモンスターペアレントたち。ストーリーの本筋と関係ないが、「子供がスポーツが上手だと自分も偉くなった気がする」勘違い描写に共感を覚える。
▲: 始めは、物腰低く有力コーチに近よりながら、自分の金銭的負担を回避しつつ主導権を得ると、次に乗り換えていく「自分たちだけが良ければ良い」リチャードの考えには全く賛同出来ない。
×: 本作の邦題「ドリームプラン」とは、結局どのような具体案であったのか描かれていない。ウィル・スミス主演の『幸せのちから』(2006)同様に、その場の危機を乗り越えていった結果としか思えない展開。
×: キング牧師のスピーチに起因している「黒人ドラマ映画の邦題にドリームつけがち」あるあるは、終わりにして欲しい。
×: 上映時間145分の人間ドラマでありながら、メッセージ性は低く、作中に共感出来る人物はいない。

③本作から得られる「人生の学び」
・自分が正しいと思ったこと押し通す正義は「一人称」の場合のみ。家族であっても、相手の意見は尊重すべき。
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