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ドリームプランのcinemageekのレビュー・感想・評価

ドリームプラン(2021年製作の映画)
4.0
ドリームプランは感動作…というように予告で銘打たれているが、実際には感動ポイントがバンバンあるわけではないので、注意が必要。
テニス界に大きな名前を残す、ビーナスとセリーナの父親の物語

https://youtu.be/u2vFczzgSDY

ドリームプラン
監督/レイナルド・マーカス・グリーン

出演/
ウィル・スミス
アーンジャニュー・エリス
サナイヤ・シドニー
デミ・シングルトン
トニー・ゴールドウィン



原題は「キングリチャード」
『シェイクスピア』の戯曲リチャード三世/King Richard IIIをなぞらえたのかな?
史実のリチャード三世は背骨の病気で猫背気味だったといわれており、このリチャードも病気か怪我の影響で猫背だったことも合わせているのかもしれない
個人的見どころポイント

1)プランを信じ続ける頑固な
  父親役をウィルが熱演

2)テニスシーンは実写?CG?
  ビーナスとセリーナの子役もすごい 

3)時代を表す貧困・差別問題を
  投げかける1本

シナリオ的には現実を模倣する形で進んでいると思うし、ウィル・スミスの実際のリチャードを模倣したであろう動きも含めて演技は素晴らしい

その一方で、お世話になったコーチであっても、ある一定のスキルまで娘が成長し次のステップになるときにはあっさりと切り捨てる…というのはアメリカらしいと言えばアメリカらしい…が、そういった

独善的な態度や自分のプランにそぐわないときの傲慢な態度を取るところなどは、実際にはそうだったのかもしれないが共感を呼ぶのとは別物かな?

スポーツで成功するための王道…というのはある一定あるのは判るし、大成功した人たちの影には数千、数万人の挫折者もいるわけで…そういう意味では、この映画事態は、ドキュメンタリー映画として捉えて観るくらいが良いかもしれない

ただし
「結果的にビーナスもセリーナも世界王者にはなったが、リチャードの選択がすべて正しかった」と言えないところがある

それは彼が立てたプランにそぐわないことは徹底して抵抗し、他人の意見は全く受け付けない姿は観ている側に「頑固すぎる面倒な親父」にも映るし「信念を曲げないかっこよさ」にも見える。
ここが映画を評価する上で分かれるところかもしれない


時代背景としては
ロドニー・キング事件による、黒人への差別や嫌がらせなどからも「黒人が強すぎる故の反発」を恐れての行動や、娘を思いやるからこその選択もある。
その根底には、娘のためにできることはなにか?を リチャード本人なりに考えた結果である
しかし、宗教的ポジションの表現や、結果的に劇中の奥さんとは離婚した事実などを踏まえて観ると感想は変わってくるかもしれない。


現代の キングリチャード から観ると、
父親のリチャードはシェイクスピアの「リチャード三世」のような暴君だった一面を揶揄してるのかもしれない

字幕は松浦美奈さん
安定した字幕でとても見やすい方
そして監修に伊達公子さんがクレジットされているので、テニスに詳しい人も納得の字幕になっていると思われる
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