たま

ドリームプランのたまのレビュー・感想・評価

ドリームプラン(2021年製作の映画)
4.0
なんともクレージーな“キングリチャード”
すごいと言えばすごいけど、狂ってると言えば狂ってる。

ルイジアナで白人至上主義者に囲まれて育ち、悪名高き(?)カリフォルニア州コンプトン、自ら“ゲットー”と呼ぶ地で生きるリチャードたち。

突拍子もないよな目標を立て、“ゲットー”から抜け出すため、知恵と努力と執念でがむしゃらに突き進む。

それも子供が産まれる前からのプランだと言うから唖然とする。

多くの人達がリチャードに翻弄される。時には妻や娘たちも。
それでもそんなことはお構い無し。

リチャードのバイタリティーは一体どこから来るものなのか。
今まで味わってきた屈辱をバネにしているのだろうか。
成功を夢見るのは、単に金を得るだけでは無く、黒人の地位向上すら視野に入れている。

リチャードの子育ての根底には常に愛、そして教育。
豊かな知識がなければ成功はおさめられないという考え方がいい。そして謙虚であれと教える。

そうしてヴィーナスもセリーナの2人の姉妹を頂点へと導く。

テニスにはあまり詳しくないけど、白人ばかりのスポーツだということに改めて気づいた。
相当なお金がかかるらしい。
一流のコーチから指導を受けないと技術が身につかない。バイオリンのレッスンに例えられているところが驚き。

映画なので、脚色も多々あるだろうけど、純粋にこのぶっ飛んだ父親に共感し、ウィル・スミスは心底リチャードに乗り移ったかのように感じた。


( それだけにあの事件は悔やまれますね)
たま

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