なんともクレージーな“キングリチャード”
すごいと言えばすごいけど、狂ってると言えば狂ってる。
ルイジアナで白人至上主義者に囲まれて育ち、悪名高き(?)カリフォルニア州コンプトン、自ら“ゲットー”と呼ぶ地で生きるリチャードたち。
突拍子もないよな目標を立て、“ゲットー”から抜け出すため、知恵と努力と執念でがむしゃらに突き進む。
それも子供が産まれる前からのプランだと言うから唖然とする。
多くの人達がリチャードに翻弄される。時には妻や娘たちも。
それでもそんなことはお構い無し。
リチャードのバイタリティーは一体どこから来るものなのか。
今まで味わってきた屈辱をバネにしているのだろうか。
成功を夢見るのは、単に金を得るだけでは無く、黒人の地位向上すら視野に入れている。
リチャードの子育ての根底には常に愛、そして教育。
豊かな知識がなければ成功はおさめられないという考え方がいい。そして謙虚であれと教える。
そうしてヴィーナスもセリーナの2人の姉妹を頂点へと導く。
テニスにはあまり詳しくないけど、白人ばかりのスポーツだということに改めて気づいた。
相当なお金がかかるらしい。
一流のコーチから指導を受けないと技術が身につかない。バイオリンのレッスンに例えられているところが驚き。
映画なので、脚色も多々あるだろうけど、純粋にこのぶっ飛んだ父親に共感し、ウィル・スミスは心底リチャードに乗り移ったかのように感じた。
( それだけにあの事件は悔やまれますね)