まーしー

ドリームプランのまーしーのレビュー・感想・評価

ドリームプラン(2021年製作の映画)
4.5
女子テニスのウィリアムズ姉妹が成功を掴むまでの軌跡を描いた感動ドラマ。特に、姉のヴィーナスにスポットを当てている。
邦題は、娘を世界チャンピオンにするために父親が作成した、78ページに及ぶ計画書のこと。

娘の才能を見抜き、最後まで信じた父アーサー(ウィル・スミス)。親の理想的な姿勢だと思った。
一方で、テニス経験のない身ながら、コーチの練習方法にも口出しする自信はどこから来るのか疑問だった。高圧的で無茶な要望を行う、近隣トラブルを起こすなど、アーサーが社会の厄介者であることは確か。

だが、子どもの礼儀や学業をテニス以上に重んじる彼の姿勢には感銘を受けた。
その姿勢の背景にあるのが、黒人差別から身を守りたいという意識。子どもたちが社会から排除されないよう、また、犯罪やドラッグに手を染めないよう、自身の経験をもとに上手く子どもたちを誘導している。
白人のコーチに黒人の娘のことは解らない——その思いが前述の自信に繋がっていたのかも知れない。

以上のように、本作は単なるサクセスストーリーではない。
家族の物語であり、人種差別を裏テーマとした深い作品である。
しかし、テニスの持つ爽やかさが、テーマの重さを消している。
ウィル・スミスの名演技も含め、将来にわたって感動作と語り継がれる映画だろう。