健一

生きるの健一のレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
5.0
この作品は 全ての働く日本人が見るべき教科書だ!


「生きる LIVING」に向けて予習。
今回2度目の鑑賞。初鑑賞は20年以上前なのでほとんど内容覚えてなかった。😰
初めて見た時はまだ若造だったので・・・
歳を重ねての再鑑賞。 染みた。

東宝創立20周年記念作品。
誰もが知る 黒澤明監督の代表作のひとつ。

story
『何でもない』職場での日々を30年間過ごして来た市役所の課長が 胃癌 で余命幾ばもないことを知り 己の生きる意味を市民公園の新設に残りの人生を捧げる決意をする・・・

お前はもう 死んでいる・・・😅👊

『生きてる』ときは『死んでいる』。
『余命』を知り 男は「生きる」。

仕事をこなし、家族を養い。
働いて、働いて、働いて、死んでいく。
旅立った私の父祖、祖母、母もそんな人生だったのかも知れない。
戦前 戦中 戦後 高度成長期。昭和の日本。
時代のせい にはしたくない。
孫として 息子として お礼し謝罪したい。
苦労かけてごめんね。そしてありがとう。

「生きる」とは・・・
『死ぬ』とは・・・

こう問われて答えが見つからないかた。
この作品 を見てください。
『答え』はないが『ヒント』はあります。
きっと。

官僚主義のお役所の仕事。
たらい回しにされる市民、文面をサラッと目を通すだけでハンコを押すだけの日々。
つまんな過ぎて やめていく若手の女性。
『何もしない のが俺たちの仕事』と信じる職員たち。
お前(たち)はもう 死んでいる・・・😅

ある意味『昭和の闇』を浮き彫りにしていて 見ていて恐ろしくなる。
本作誕生から70年。平成生まれの若者たちは この作品をみてどう感じるだろう。

主役の男を演じた志村喬さんの静かで抑えた素晴らしい演技は今更 絶賛するまでもない。
志村さん以外に印象に残っているのは やはり何といっても退職間近で課長と『生きてる日々』を過ごした市役所の若い女性。
演じる 小田切みき さんのあの弾けそうな笑顔!おてんばっぷり!
死にかけたおじさんに『生きる活力』を与える存在として作品に華を添えると同時に観客達にも あの笑顔で『生きる勇気』を与えてくれる名演。

クライマックスのお通夜のシーンが本作の集大成。
すべての『謎』が解けていくこの演出はお見事の一言。

本作のジャケにあるように志村さんが寂しそうにブランコに揺られているシーンがなんとも印象な本作。
ブランコ・・・
もう何十年も乗ってないな。
仕事帰りの深夜に公園のブランコに乗ったら職質されちゃうかな?😅

来週観に行くリメイク版が楽しみ。😊



「生きる」。素晴らしい作品でした。
黒澤明監督の 底無しの才能 に酔いしれる。
健一

健一