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生きるのyumikoのレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
3.7
市役所で働く渡辺のお話。市役所は、相談に来た市民が次から次へとたらい回しにされ、渡辺も書類に判子を押すだけの空虚な日々を送っていた。

ある日、体調不良で受診した際、胃がんで余命が少ないことを悟った渡辺。貯金を引き出し、飲み屋で出会った男と遊び歩いてはみるものの、心を埋めるものはない。同居する息子夫婦には、病気のことを打ち明けられず、呆れられてしまうのだった。

30年無欠勤って言ってたかな。休むと地位を奪われる?って今ではちょっと考えられない昔の感じが良いですね。所狭しと積み上げられた書類の山がすごい。

同じ課の若手女性職員(この時代なのであえて)の小田切とよが、こんなつまんない職場辞職したい!と渡辺宅に書類を提出しにきたのをきっかけに、食事をしたりするようになる。とよの、玩具工場で忙しくも、「何かを作る」という生き生きとした生活をみて渡辺も人が変わったように仕事に打ち込み始めるのだった。

とよと行ったカフェで別のグループがお誕生日パーティーをやってるの。
Happy birthday to youの歌をバックに、実は渡辺が生まれ変わったように見えるのがよかった。

渡辺は結局、まもなく亡くなるんだけど、お通夜のシーンがまた、面白い。
結局市民の陳情を聞き入れ、公園を作り上げた渡辺だったが、その功績に乗っかる人や、陰ながらちゃんと見てた人、渡辺の尽力に感謝する市民などが色々話すが、結局死人に口無し。

でも、自分の作った公園のブランコで息を引き取った渡辺を見つけた警官のお焼香によりみんな気づきますね。

生きるということはミイラのように仕事をして時間を使うのではなく、どういうことなのか!ということかな。

とても興味深く観ました。
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