Smoky

キングメーカー 大統領を作った男のSmokyのレビュー・感想・評価

4.2
金大中元大統領と、彼の選挙参謀だった厳昌録をモデルにしたフィクション。何のために勝つかという理想も大切だけど、一方で、勝たなければ理想を実現できないのが政治の世界。ましてや、軍事政権による独裁の時代なら尚更。綺麗事や正攻法で勝てるワケがない。同じ目的や志を持ちながらも、根本的なところで相容れなかった二人の物語。それはつまり、有権者(人間)に対する認識(性善説 / 性悪説)の違いであり、それを象徴するのがオープニングとラストに出てくる卵泥棒のエピソード。
 
本作では描かれなかった、理想主義者の権化ともいえる金大中の、大統領になるまでの数十年の苦難(連続落選、暗殺未遂、拉致、死刑判決、恩赦)を考えると「もっと早く勝っていれば、そこまで大変な思いをしなかったんじゃないか?」…とも思える。
  
エンタメと人間ドラマと哲学とが絶妙なバランスで組み合わせれた秀作。本作の政敵に当たる朴正熙大統領側を描いたビョン様主演の『KCIA 南山の部長たち』を合わせて観ると理解が深まる。
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