民主主義のむずかしさを感じさせられる作品だった。手段に問題があろうとも、正しい目的のならば肯定されるのか？ 法の遵守は大切だが、そのために正義を棒に振ってしまうとしたら？——このパラドックスには答えようがない。
ただそれでも私は鑑賞中「国民はいったいどこに？」と何度も言いたくなった。たしかに主人公のような〝策士〟が世の中を動かしているのも事実かもしれない。歴史は夜、作られる——でもやっぱり策士は策に溺れるのだと思う。
最終的に歴史を動かすのは国民一人ひとりだと思う。私は若い頃は選挙には行かなかったが、最近は台風と重なっても出かけるようになった。投票もしないで政治家の悪口は言えないと思うからだ。
ところで最後まで観ると主人公が仕えるあの議員は金大中とわかる。なぜ、そのまま名前を出さなかったのか？ 実名の方がもっと物語にのめりこめたのに・・・と思うとすこし惜しい。
［オリジナル音声+日本語字幕］2023/09/11 WOWOW 4K
