うっちー

福岡のうっちーのレビュー・感想・評価

福岡(2019年製作の映画)
3.3
 福岡三部作(と、当の監督は意識してないと、昨年末来日時に仰っていた)のうち未見だった今作を観に、初めての映画館、Strangerまで。確かに『柳川』『群山』と共有するものは多いが、今作はより緩いというか、落とし所がわからない感じ。86分と短いながらも途中でちょっと睡魔が💦 何も起こらない系にしても、登場人物たちのつながりや行動に特に意味をもたせないような意図があるのかないのか、ちょっと面食らった。チャン・リュル作品独特ののんびりしたユーモア感が苦手なわけではなく、むしろ大好きなので、雰囲気のせいで乗れなかったわけでもない。

 なんとなく思ったのは、それぞれ本名が役名になっている主要人物3人の造形があまりに薄いからかなぁ。。。皆魅力的な役者なのに、なんなのかよくわからない。特に福岡にいってから会う居酒屋亭主、ヘヒョ先輩の終始不機嫌な演技や、謎の少女とか。なんのメタファー(ジェムンとヘヒョが好きだった女性とか?)? ソダムはとてもかわいいのだけど、何考えてるかわからないし。なんとなく常に困った表情の古本屋店主、ジェムンがいちばんわかる感じだったかな。しかし、ソダムの持っていた古い日本人形だとか、2人の中年男性がかつて同じ女性を好きだったとかのエピソードを『柳川』に、しっかり組み込んでいるんだ、というのは、本作の感想ではないのだけど感心した。ということは、『柳川』を作る準備のための作品?というふうにも思えなくもない。とにかくちょっと不思議な映画だった。
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