「夢をもつ」ことは叶う叶わざるを問わず、誰にも否定できないものです。さらに言えば、「夢」はなくても別にいい。「夢」のない人間は価値がない、そういった間違いを叩き込む教育は暴力的ですらあると思います。
本作が「夢」に代わるものとして打ち出した「きらめき」の概念は本当に素晴らしいと思いました。
きらめきは生きる糧。人間が人間らしくあるためのかけがえのないもの。「夢」と違って目的ではないので、具体的でなくていい。
何となくこの瞬間めっちゃ落ち着くとか、ただ靴を見てるのが好きとか、人に迷惑をかけないならなんだっていい。社会のために役立てる必要もない。
本作があえて想像の余地を残してくれているのは当然で、つまり人生は目標設定や達成度なんかで価値が決まるものではないからだと思います。
こういうことをきちんと言ってくれる作品はめちゃくちゃ貴重だし、無駄に背負わされていた何かを下ろしてもらえることで、どんなに生きることが楽になるか。
成し遂げた人の物語に居場所が見いだせなかった人のための物語もあって当然だと、気づいてくれた作り手の優しさに感動しました。
この映画でひとりでも多くの人の心が安らぐといいなと思います。