映画好きの柴犬

ソウルフル・ワールドの映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.0
日常のキラメキ、夢の後先

 マンホールに落ちて死んで(?)しまったジャズミュージシャンを目指す音楽教師ジョーが、著名アーティストとステージに立つ夢を叶えるためにソウルの世界から地上に戻ろうとする、ハートフルコメディアニメーション。

 死後の世界を描いた「リメンバー・ミー」や、脳内世界を描いた「インサイド・ヘッド」と同系統の作品と言えると思うんだけど、個人的にこの2作品にはそれほどノレてなかった。どちらも話自体は好きなんだけど、死後の世界や脳内世界の描写が世俗的過ぎて逆に嘘くさく感じられてしまったのと、アクションのドタバタ感が強過ぎて本来のストーリーに集中できないっていう感じで、全体のバランスが合わなかった。

 その点、本作は自分の好みのバランスにピタリとハマった感がある。「アーロと少年」以降「ライオンキング」の超実写CGのように、現実以上に色彩豊かで光に満ちたエモーショナルな現実世界の描写と、いい感じに抽象化されたソウルの世界の対比がうまく効いていて、現実世界がすごく魅力的に見えた。音楽が題材ってこともあってアクションやドタバタ感も過度でなく、しっとりとしたストーリーと合っていたと思う。

 夢を叶えようと奮闘するジョーをストーリーの中心にしながら、夢を叶えることだけが人生じゃないことを描いているところもいい。「トイストーリー4」もそうだけど、最近のピクサー作品は人それぞれの生き方への優しさが感じられる。