サトタカ

ソウルフル・ワールドのサトタカのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
5.0
ジョーは、下ぶくれの報われないジャズ・ピアニストを夢見る教師なので、無意識に「いい人」なんだろうという先入観を持って見始めたが、22(地球で人間の赤ちゃんになる準備が整わない魂ちゃん)が入ったバージョンのジョーと比較すると、けっこうセルフィッシュで聞く耳を持たない、本当の問題に正面から向き合わない(ちょっと)ダメな人だった。うまいひっかけだわ。
自分はもちろん、たいていの人間はいい人風味の(ちょっと)ダメな人だと思ってるけどね。

死後の世界(ソウルフル・ワールド)のパステル調なカラーリングや、マッシュルームみたいなマリモみたいな赤ちゃんの元、そしてジュリーらのキャラ設定も冴えていた。
CGのクォリティ、ほんとにもう極まってるね。これ以上はいらないというレベルだわ。ジョーのお母さんや床屋さん、ドロシア・ウィリアムズのビジュアルも最高だった。

ペパロニ・ピザのおいしさ、NYの地下鉄のミュージシャンの唄、眩しい太陽の光と木漏れ日、くるくる回りながら落ちくる葉っぱ、日常で見落とされがちなたわいもない一瞬一瞬(いわゆる今ココ←あんまり好きじゃない表現だけどw)こそが22が探し求めていた「きらめき(spark)」だった。

「海」に憧れ、恋焦がれる魚は、自分がすでに「海」の中にいることに気づかず、不足を嘆き続ける…そんな話をドロシアがしてくれたが、まさにその通りだと思う。

「目的」の達成にとらわれて、目の前で起こる出来事や身近な人たちを軽視することがいかに人生を全うすることから遠い行為なのか。

我が身を振り返って、(苦しくても)本当にやりたいことを自問自答すること、他人への思いやり、優しさを持つことを少しでも実践していきたい。
サトタカ

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