のぼせギュウマン

ソウルフル・ワールドののぼせギュウマンのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
5.0
ディズニー映画にしては、現実味のある一作。「生きる希望を見い出せない」22番と、「自身の人生を悲観しつつも、夢に向かって生きる」ジョー、二人のこの冒険は、現代の人々に共感しやすい内容だった。
22番は、何でもかんでも、後ろ向きに考えて、生きることに関心を持たない。今の世の中も、何でも調べれば、長所と短所が出てくるからこそ、22番のように、前に踏み出せない人は多い。その点では、共感する人が多かっただろう。

後半の、ジョーが「人生のキラめき」の意味を聞いた場面、ジェリーが放ったセリフは、生きづらさに悩む人にとっては、少しでも、曇りかかっていた心が晴れる言葉だと思う。

個人的には、主人公、ジョーは、人間味があって、誰かしら当てはまりそうな人物だった。
最初、悲観的な人生と思っているからこそ、内気になったり、他者と向き合えない彼には、共感できる。しかし、魂の世界に来てからは、22番やジェリーと関わることで、自然と「誰かと向き合うこと」ができていく。
そして、終盤の、自宅でジョーがピアノを弾くシーン以降は、感動モノ。ジョーと22番の決断には、「なんて、良い人なんだ!」と思わず涙が零れた。
その上、何もかも丸く治まるラストは、ディズニー映画らしい心温まる展開だ。

「人生は、山あり谷あり」と言うくらい、辛さの連続だ。それでも、「朝、鳥を見かけた」ほどの何気ないことでも、幸せと感じれば、その人の人生は、これまで経験した辛さに勝る幸福なものなんだ。本作は、そういう「人生の素晴らしさ」を教えてくれる作品だ。