真一

頑固者の真一のレビュー・感想・評価

頑固者(2018年製作の映画)
3.5
 大ヒット作「ウォーキングデッド」のファン必見のショートムービー。人気キャラのグレンを演じた韓国系俳優スティーブン・ユアンが、迫真の一人芝居を演じ、観る人を奇妙な世界に誘います。

 舞台は、アメリカのハイウェイ。男(スティーブン・ユアン)は車を路肩に停め、携帯電話で、元妻らしき女性に対して「この子は連れていく!責任は君にある。居場所は言わない」とまくし立てる。電話口の女は、突き放したような声でつぶやく。「あなたはどんどん悪くなっているわ」。一体、何が起きているのかー。

※以下、ネタバレ含みます。

 途中まで、社会問題化している「片方の親による子供の連れ去り」ではないかと思わせる展開。でもラストで、誰も乗っていない後部座席が映る。えっ?じゃあ、背後から聞こえていた赤ん坊の泣き声は何?

………背筋がゾーッ………

 男の話し方は、我を失った時のグレンの話し方そのもの。観る人に「電話口の向こうにいるのは、グレンの恋人マギーか?」「ラブラブだった2人はどうしてしまった?」と思わせる場面が続き、気分が悪くなります。

 もっとも、電話口の向こうの女性の声を演じているのは、ウォーキングデッドのタラ役のアラナ・マスターソン。マギー役のローレン・コーハンではありません。ということは、

 この作品は、ウォーキングデッドの撮影を終えた役者のスティーブン本人が、グレン役にのめり込みすぎて精神がおかしくなった様子を、スティーブンの「実際の妻」に扮したアラナの視点から描いた変則的スピンオフもの、とも受け取れます。

 そして「この人、やっぱりグレンだ!」と思わせるセリフが、これ。

 "This was the old world,and this is the new world."「それは(まだ文明があった頃の)古い世界だ。そしてこれは(ウォーカーが蔓延し荒廃した)新しい世界だ」

 いずれにせよ、複数の解釈が成り立つミステリアスな内容。切ないファミリー作品と捉えるか、サイコ・ホラーと受け止めるかはあなた次第という感じ。グレン、素敵です。

 それと、意味不明の邦題を変えてほしい。何ですか。「頑固者」って。ひどすぎます。

 以下、YouTubeの公式動画(英語版)です。

https://youtu.be/eaC3DRI3L8c?si=vGwHZbCMHnwZ1FbC
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