シズヲ

パラダイスキャニオンのシズヲのレビュー・感想・評価

パラダイスキャニオン(1935年製作の映画)
3.0
本作のデューク、終盤まで正体を隠すこともなく初っ端から連邦保安官。この時代のB級西部劇、「謎めいた流れ者の正体は連邦捜査官だった」みたいなパターンが多かったので逆に新鮮。冒頭から偽札偽造犯を追いかけるという粗筋も明確(主人公の上司が懇切丁寧に語ってくれる)なのでとても分かりやすい。しかしアマプラで見れる版、やっぱり後付けのBGMが余計で気になってしまう。

本作で印象に残るのはデュークよりもヒロインの父親である胡散臭い薬売りの方で、随所でユーモラスな掛け合いを見せたり長台詞を披露したりしてくれるのでやたら楽しい。キャラ立ちが分かりやすくておもろい。脇にくっついてる下っ端コンビもちょくちょく愉快なリアクションを見せてくれる。あと『バスターのバラード』でも見られた曲芸鏡越し射撃が描写されてたのがニヤリとしてしまう(出会ったばかりの男に命懸けの芸を任せる親子、肝っ玉が凄い)。内容自体はまあ当たり障りもなく保安官の捜査モノって感じだし、要所要所での早回しはやっぱり気になる。

作中に実用的な自動車が登場しているので1890年代以降と思われるが、それだけに辺境の地では『ワイルドバンチ』等みたくまだまだ西部開拓時代の気風が残っていたことが伺えるのだなあ。
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