向かいの窓のまぬままおまのネタバレレビュー・内容・結末

「隣の芝生は青い」

育児に疲れ、愛の冷めた夫婦が、向かいの窓からみえる若いカップルのセックスを目撃することから物語が展開する。
双眼鏡で覗く様は滑稽なのだが、覗いているうちに実は若い男は重い病気を患っていることを知り、ついに死んでしまう。
この展開の劇的さに驚いたし、面白い。

そしてカップルの女性と妻が男の死を通して出会うのだが、そこで双方が双方の暮らしを羨ましいと思っていることが分かる。
向かいの窓越しから覗き、自分の身が置かれている現実から隔たっているからこそ羨ましいと思うのだろう。

自分の身が置かれている現実。それはノイズに溢れ、自分の生を差し出さなければならない磁場が働いているのだろうけど、そんな現実を善いと思える眼を持ちたい。