Rui

向かいの窓のRuiのネタバレレビュー・内容・結末

向かいの窓(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

毎日の育児と夫の非協力的な姿勢にイライラを募らせる妻アリー。ある日、夫婦は、向かいのマンションの一室に住む男女のラブラブな様子を窓越しに目撃する。倦怠気味にあった彼らの関係とは正反対のそれにどうにも興味がそそられ、日常的に観察するようになる。ここまでは『裏窓』風の展開。が、久しぶりに覗いてみると、スキンヘッドにした男性の姿があり、なにやら様子がおかしい。暫くして、彼は自宅で死亡。取り残されて嘆く女性に"こちらの家"の妻が駆け寄って話を聞く。どうやら彼は病気を発症して闘病していたようだ。さらに、彼女は窓越しに"こちらの家"を見ていたことを告げる。可愛らしい子供たち、夜中に面倒を見る夫婦の様子も。愛する人の死を間近に感じながら、幸せそうな家庭を見続けていた彼女。悲しみ、憧れ、嫉妬…。そこで初めてアリーは、自分の幸せに気付かされるわけです。最後、"向こうの家"からの視点で家の中が映し出され、幕は閉じる。

私たちは通常、物事の表面だけを見てその対象に勝手に感情を抱くわけですが、それがいかに愚かなことか痛感する。内情を全く知らないから、なんだって良く見えちゃうよね。自分の囲いの中で感情が瞬く間に肥大化して、必要以上に壁を高く分厚くしてしまう。

どこかのタイミングで溶け合えるようになればいいなと思うばかり。
このショートフィルムの場合、そのトリガーが向こうの家の不幸になっており、双方ハッピーエンドというわけにはいかなかったけれど…。

優しさに触れられる、良いショートフィルムでした。
Rui

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