正善院市法秀

俺も男さの正善院市法秀のレビュー・感想・評価

俺も男さ(1955年製作の映画)
4.0
鶴田浩二さん出演作品コンプリート鑑賞を目論んでいる私にとって本作の放送は嬉しい限りでした。
1955年のホワイトデー(この頃にはそんな日ないか(笑))公開になっているので、鶴田さん30歳。
仄かな渋さと爽やかさが同居した女性から見て最も魅力的な時期かもしれません♪
とある会社のモテモテ二代目若社長を演じています。
小料理屋のおかみさん(亭主もち)、踊子、社長令嬢、売れっ子芸者、事務員。
それぞれを演じているのが…と書きたいところなのですが、ピンとこない確率大なので自粛します(笑)
監督のイメージもあって、はじまって数分は女性たちによる鶴田さんを巡ってのドタバタ喜劇かと思いきや、
戦中戦後における一つの社会問題が盛り込まれていた。
昨年、NHKで放送された「駅の子」というドキュメンタリーを御覧になった方はいらっしゃるだろうか?
駅の子とは戦災孤児のこと。
これまで語られることのなかった【元駅の子】による生の声による実体験が涙を誘う秀作でした。
オンデマンドにて216円で鑑賞可能なようなので、一応貼っておきます。
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2018090594SA000/

本作にもその駅の子が登場します。
生きるためには手段を選ばない子供たち。
その子供たちを喰いものにしている鼻くそ野郎を役を丹波哲郎さん。
鶴田さんは、スリで生計を立てている少年に救いの手を差し伸べます。
そして、なんとその中の一人を自宅に住まわせ学校に通わせるのです。
女性を含め誰にでも優しい(それが社長のダメなとこですと密かに思いを寄せている事務員からおしかりを受ける)鶴田さんではあるが、
なぜにそこまで?
そうなんです。実は鶴田さん、同じように亡き先代社長に拾われた元戦災孤児だったのです。
この事実をしていたのは、先代から遣えている東野英治郎だけでした(鶴田さんは全く隠す気はなかったが、会社の体裁を考えてシークレットにされていた)。
とまあ、こんな感じでストーリーが始まります。
結構な長さのアクションシーンもあり、鶴田さんの男気に痺れる作品となっています。
そして、ちょっとした珍品でもあります。
なんと鶴田さんの愛車が社名の入ったダサ格好いいスクーターなのです(笑)
スクーターを乗り回す鶴田浩二さん、かなりレアではないかと。
思うことあり調べてみたところ、前年「ローマの休日」が日本で公開されているんですね~
もしかすると、その影響かもしれませんね♪
そしてもう一つ激レアだったのが、鶴田さんのエプロン姿(笑)
家に住まわせた子供に手料理をふるまうシーンでのお披露目でした(お手伝いのお婆さんがいるのに)。
マルベル堂ブロマイド売り上げ第一位は、この時期ではないかと思います。
不公平なことではありますが、とどのつまり男前はスクーターに乗ろうがエプロンを付けようが、様になってしまうわけです(^。^)y-.。o○

石川五ェ門風に、
「また誰も観ないであろう作品のつまらぬレビューをダラダラと書いてしまった…」
正善院市法秀

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