エイデン

ブラック アンド ブルーのエイデンのレビュー・感想・評価

ブラック アンド ブルー(2019年製作の映画)
-
元軍人のアリシアは退役後 故郷のニューオーリンズに戻り警察官となっていた
しかしこの街はハリケーンの襲来以降、治安が悪化したばかりか、黒人への人種差別意識が未だ激しく、アリシアは朝から日課のランニングをしているだけで警官に呼び止められるほど
IDからアリシアが警官(“ブルー”)だとわかると、ようやく解放されるのだった
その後 コンビを組んでいる先輩警官のケヴィンと共に街へパトロールに出たアリシアは、かつて貧しい黒人たちが住んでいた“キングストン団地”の周辺へとやって来る
今やそこは危険な連中がたむろしていることでも知られ、例え通報があっても警官たちは無視を決め込み、警官が危険な目に遭わない限りは立ち入ることすらないという
そんな折 休憩に立ち寄ったスーパーで、アリシア1人でいた少年に何と無く声を掛けた
しかし母親が割って入り、揉め事になりかけてしまう
ふとアリシアはその母親が学生時代の友人ミッシーであると気付くが、彼女は知らないと言い張り、その仲間からは「白人の犬」と罵られてしまう
ケヴィンによれば彼らはダリウスという男が率いる危険なギャング“キングストン・クルー”であるらしく、アリシアはこの街の警官が如何に信頼が無いかを思い知るのだった
その後スーパーに入ったアリシアは、当然のようにコーヒーの代金も払わずに去っていくケヴィンにも違和感を覚え、ミッシーの従兄弟である知己の従業員マウスに代わりに代金を支払う
しばらくしてパトロールを終えた2人だったが、アリシアはケヴィンに回ってきた夜勤の仕事を肩代わりすることに
ベテランの黒人警官であるブラウンと組んだアリシアは、再び夜の街にパトロールへ臨む
するとバーで喧嘩をしているという通報が入り、現場へ急行したアリシアはそれを諌めようと奮闘するが、その背後から1人の黒人が忍び寄ったところをブラウンが取り押さえる
ブラウンは男に対し過剰に暴力を振るい、遂には拳銃まで取り出したため、アリシアは慌てて彼を止めるが、その男は拳銃を隠し持っており、自分が命を狙われていたことを知るのだった
反省するアリシアにブラウンは、街の黒人達ではなく警官だけが仲間なのだと諭す
夜も明けかけた頃、ブラウンは情報屋から連絡を受け、2人は待ち合わせ場所へと向かうことに
車で待機するよう命じられたアリシアだったが、情報屋のものと思しき車を盗もうとする人影を見つけ、充電中のスマホも置いたまま外へと飛び出す
すると直後、ブラウンの入っていった廃墟から銃声が響き渡る
ボディカメラの電源を付け中に入ったアリシアが目撃したのは、ブラウンと麻薬捜査班のマローンら刑事達が共謀し、麻薬の売人だった黒人の若者を殺害する姿だった



黒人差別問題を下敷きにしたサスペンス・アクション映画

黒人コミュニティの広がる街の黒人警官という主人公が、警察の汚職を目撃したことをきっかけに警察・マフィアの両方から追われることとなるスリリングな展開が魅力の作品

背景にあるのは黒人差別問題による警察と黒人コミュニティの確執
2014年のマイケル・ブラウン射殺事件など無力な黒人を警官が射殺したような事件も多くあるアメリカでは、黒人には犯罪者が多いというような差別的な認識は根強く、黒人コミュニティからの反発は依然として多い
そんな社会の現実が凝縮したような冒頭から始まり、その確執の狭間に堕ちてしまうような展開は上手くハマってる

その中で正義を貫くために奮闘するアリシアのサバイバルは面白いし、ジェットコースター的に勢いもあるので引き込まれる
彼女に唯一協力するマイクとのコンビも良い塩梅だし、2人ともタフなので応援したくなるキャラクター像をしてる

失速することなく描き切ったオチもスッキリしているので全体的に楽しめる映画になってる
あえて難点を挙げるのであれば、深刻な社会問題を背景にしつつも触れ方があっさりとはしてるところかな
ちなみにこの映画が公開された翌年2020年には新たな警官による殺人事件を皮切りにブラック・ライブズ・マター運動に発展していることもあるので、改めて今 同じ題材で映画を撮るなら違ったものが観られるのかもしれないと思った
あくまでスリリングな展開とアクションで魅せる作品なので、傑作では無いかもしれないけど良作ではあるので観ましょう
エイデン

エイデン