えむえすぷらす

ブラック アンド ブルーのえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

ブラック アンド ブルー(2019年製作の映画)
5.0
BLACK LIVES MATTERが主題と言っても良い作品。
BLMの訳は特権みたいな主張だという否定のための主張なんかもありますが、意味として考えるなら「黒人が生きていく事は困難な問題に直面し続ける事だ」というのが妥当だと思う。白人なら笑って済まされる問題が黒人にとっては下手すれば警察官から射殺される問題になる。本作の冒頭、同じブルー(警察官の制服の色から来ている)なのに黒人女性だからというだけで威圧的な職務質問のターゲットにされた描写は本作のありようを一発で示して見せた。

メインのプロットは力押しで結構無茶してますが警察、ギャング、そして彼らから標的にされて街中から忌避される主人公とそんな主人公に見込まれて疫病神に取り憑かれてしまったかのような善人がほんの少ししかない生きる可能性を切り拓いて行く。

起きている事態の理由が明かされる中で誰が本来追求されるべき加害者なのか。悪夢のような状況で実は弱者が弱者を食っている状況も見えてきてアメリカの現実を投影した作品だと思います。