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クイーン&スリムのakiyoshiのレビュー・感想・評価

クイーン&スリム(2019年製作の映画)
4.3
人種間の対立や差別が悪化する中、アメリカの今を切り取る非常にセンセーショナルな題材を扱った逃避行。タイトルは劇中でも語られたようにボニー&クライドをもじったもの。
逃避行ではありますが、中盤からふたりの疲労と緊張はピークに達し、やりたいことをやりだしたり、思い出作りといった死を意識したような行動が始まります。
少年「ジュニア」の存在が印象的で、エンディングの扱いと主役であることでヒロイックな印象のみを感じてしまうところに、殺人や死で単純には「伝説にはならないで」といったメッセージも感じました。警察官側にいるひと(警察にいてもあからさまに差別を受けている様子も描かれます)や、ふたりを助ける白人や警察官の姿も描くことで、憎悪扇動への否定といった意図も感じます。
レガシーとしての姿は、同様のケースで亡くなったひとへの追悼と、差別への抗議活動によりそったものだと思います。不幸な死と相手の死をもっての抵抗を賛美するものではないはず。

特定の属性のひとがやたら職務質問を受けたり、話の通じない危険な相手として扱うのは日本でも起きていることで、銃社会であるかないかが生死を分けているにすぎないのかもしれません。
ただ、けっこうヒロインの着替えを妙に長くカメラが写すシーンが個人的に嫌な目線だったかな。
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