ヘソの曲り角

クイーン&スリムのヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

クイーン&スリム(2019年製作の映画)
3.5
話自体はいいと思うんだけどエモが過ぎる。なんか既視感のある感動シーンがたくさんでちょっとしらける。展開もだいたい分かっちゃう(展開を楽しむ映画ではないからそこは別にどうでもいいか)。

なんというかアメリカンニューシネマ期のロードムービーのような真剣さとおふざけが両立した作品。逃げる男女の言動が見事に対称的になっていて、時間推移とともに両方の弱さと優しさが垣間見えるのがよかった。捕まったら終わりの決死の逃避行のわりにゆるいのがなんか嫌なようで嫌じゃない。とにかくサントラがいい。

結局黒人が白人警官に難癖つけられて殺されかけたので抵抗したら警官殺しちゃった、という話なので当然ニュースを見た人々が支持、不支持に分かれて世間では闘争が始まる。逃げてる本人たちはほぼほぼ不可能に近い逃げ切りに挑戦しながら最後にしたいこともやって楽しんでいるのに対し世間では彼らを英雄視してさらなる悲劇や分断を生み出していく。最終的にふたりは生きてるだけで超危険因子として殲滅対象になり、世間はますます英雄視するようになりふたりをアイコン化していくのだった。