るるびっち

ベル・エポックでもう一度のるるびっちのレビュー・感想・評価

ベル・エポックでもう一度(2019年製作の映画)
3.3
設定のアイデアに溺れて、あまり話を詰めていない印象。
過去を再現することで、忘れていた伴侶の良さを再確認するものだが、そもそも夫は今も妻を愛している。
なので、記憶と同じものをなぞっても仕方がない。
むしろ夫に幻滅している妻に再現を体験させるべきだ。
それならときめいた昔を思い出し、夫を見直すこともあるだろう。

或いは、疑似妻を演じるモデルと夫が仲良くなり現妻と三角関係という展開でも良い。どちらも中途半端で終わっている。

記憶は、同じ経験をしても人により違っているものだ。
大抵自分に都合良く書き換えている。
だから夫と妻それぞれ過去を再現させて意見が食い違っていたり、あの時の本音は違っていたと気付かせる。
そうすれば、互いの存在を見直すことになるだろう。
アイデアに溺れて、未消化に終わったシナリオの欠陥だと思う。

何より観客の先を行く展開を描いていない。今まで過去を再現して来たのだから、最後は意表をついて未来を描くなど・・・
観客の予想のひとつ先を展開させなければ面白くない。

この話は結局、「もしもボックス」みたいなもので藤子・F・不二雄が得意なジャンルなので、ドラえもん全巻を読み直してからもう一度シナリオ書き直せば良い。
成長しないのび太のせいで、欧米では『ドラえもん』は不人気らしい。
しかしそれくらい読まなければ、この作家の成長もないだろう。
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