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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェストのkazu1961のレビュー・感想・評価

4.5
▪️Title :「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト」
Original Title :「C'era una volta il West」
▪️Release Date:1969/10/04
▪️Production Country:イタリア・アメリカ合作
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2019-237 再鑑賞
▪️My Review
これぞ映画!!その当時「ウェスタン」の題名で141分の短縮版を観ました。今回は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト」の原題で165分のフルバージョン・オリジナル版が公開され鑑賞。
レオーネの代表作であるのみならず、西部劇の金字塔として高く評価されている名作。この作品から「夕陽のギャングたち」、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」までを、それまでの「ドル箱三部作」に対して「ワンス・アポン・ア・タイム三部作」と呼ぶこともあります。
見所はいっぱい!!まずは、この映画のオープニングに完全に圧倒されました。映画が動き出す前の何も起こらない時間にズームアップを駆使した細部を見せる巧みな演出に驚愕です。あの13分は本作の魅力を存分に表現している場面です。
この作品を観て見てクエンティン・タランティーノが映画監督になろうと思ったのも納得ですね。
そして、レオーネの芸術性。イタリア娯楽映画界の異端児セルジオ・レオーネが、持てる芸術的造形力の極点を示した最高の映像モニュメントと言われています。本家アメリカとイタリア西部劇の枠組みを超越した〝レオーネ・ウェスタン〟の結晶でかつ、巨大な情念のスペクタクルであると同時に、それは、今はなきアメリカ西部劇へ万感の想いを込めて捧げた哀悼の作品となっています。
クローズアップで捉えた男たちの視線、時代の境界に向き合う女の美しき立ち姿、そして現在の映画作りでは描けない時間感覚(タランティーノを除く)に、改めて観て気づかされました。やはりレオーネの画、音、空気の流れ方は時代を超越しています。
更に作品を盛り上げるのはモリコーネの音楽。映画の肝は、チャールズ・ブロンソンのハモニカです。ハモニカにここまで命を吹き込んだモリコーネはやはり素晴らしいですね。
出演陣も強烈なキャラクターで最高です。チャールズ・ブロンソンの渋さ、ジェイソン・ロバーズのフレンドリーさ、凛とした美しさのクラウディア・カルディナーレ、そして何より「アメリカの良心」を体現してきたヘンリー・フォンダが悪役を演じてきっているのが見ものです。
本作、終始琴線に触れまくりで、最後には打ち震えるそのラストと旅立ち。これぞレオーネ・ワールドの到達点。まさしくこれが映画!!傑作ですね。文句なし!!

▪️Overview
マカロニ・ウエスタンで知られるイタリアの巨匠セルジオ・レオーネが1968年に手がけた作品で、日本では当時「ウエスタン」の邦題で短縮版が公開された一作。「荒野の用心棒」(64)、「夕陽のガンマン」(65)、「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」(66)の「ドル馬三部作」で3年連続イタリア年間興行収入ナンバーワンを記録したレオーネが、方向性を大きく変え、自らの作家性を強く打ち出した野心作。大陸横断鉄道の敷設により新たな文明の波が押し寄せていた西部開拓期を舞台に、女性主人公の目を通して、移り変わる時代とともに滅びゆくガンマンたちの落日を描いた。ニューオーリンズから西部に嫁いできた元高級娼婦のジルは、何者かに家族全員を殺され、広大な荒地の相続人となる。そして、莫大な価値を秘めたその土地の利権をめぐり、殺し屋や強盗団、謎のガンマンらが繰り広げる争いに巻き込まれていく。初公開当時、ヨーロッパでは高い評価を得たが、アメリカでは理解されずにオリジナル版から20分短縮されて興行的にも惨敗。日本ではアメリカ版からさらにカットされた2時間21分の短縮版が「ウエスタン」の邦題で公開された。初公開から50年を経た、レオーネ生誕90年・没後30年にもあたる2019年、原題の英訳「Once Upon a Time in the West」をそのまま訳した「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト」に邦題をあらため、2時間45分のオリジナル版が劇場初公開される。
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